地上波テレビがユーキャン流行語大賞の「ふてほど(不適切にもほどがある!)」をノンキに報道していた12月2日、XやFacebookなどSNS上に緊張が走った。中国人インフルエンサーが山形県米沢市や宮城県仙台市で子供をつけ回し、「日本の小学生には親が付いてない。みんな1人で帰宅下校している」などのキャプションをつけて、子供の誘拐をそそのかすような動画が拡散されていたからだ。
この動画は中国の動画掲示板「小紅書」に投稿されていたもので、「玩遍地球的主持任謙」というアカウント名の中国人インフルエンサーの蛮行は、これだけでは済まなかった。
山形県新庄市役所庁舎や同市議会議長室、天童市役所庁舎にも無断で侵入し、勝手に内部を撮影。その気になれば、これらの庁舎に爆発物を仕掛けることもできただろう。
この異常事態を受けて、米沢市役所は公式Xで、
〈本市児童を撮影したと思われる動画が現在Xで拡散されております。本市では、警察・教育委員会・学校が協力しパトロールを実施します。皆様が安全・安心に暮らせる街とすべく引き続き対応いたします。市民の皆様も、児童の登下校時の見守りをよろしくお願いいたします〉
市内のパトロールを強化するとともに、市民の見守り協力を要請したのである。
中国国内では人身売買目的のみならず、「臓器移植」「臓器強奪」目的の、子供の誘拐が多発。年間20万人の子供が行方不明になっているといわれる。
別の中国動画サイトには、ショッピングセンター内で起きた誘拐未遂の瞬間を捉えた動画がアップされている。誘拐犯グループは、狙いを定めた子供の警戒心を解くため、ショッピングセンター内で10代前半の共犯者が子供に声をかけ、油断したところをそのまま子口を塞ぎ、抱きかかえて連れ去っている。
今年7月には中国の陝西省で、13歳の少女が登校中に行方不明になり、3日後に両目、両腎臓、肝臓、脾臓が摘出された遺体で発見される凄惨な事件が起きた。日本国内でも外国人観光客に扮した女性や未成年の誘拐犯が、子供に道を尋ねるフリをしてキャリーケースや車に押し込んで連れ去る…という事件がいつ起きてもおかしくない。
問題の「玩遍地球的主持任謙」アカウントには愛知県内の観光名所がアップされており、東北地方で小学生をつけ回した中国人は、東海地方に移動したとみられる。この案件を大々的に取り上げたのは国民民主党・山形県連幹事長の梅津庸成氏とスポ-ツニッポン、産経新聞だけだった。
石破茂政権の外務大臣は、よりにもよって中国のオンライン賭博業者から現金100万円を受け取った疑惑がくすぶる岩屋毅氏(本人は受領を否定)だ。アメリカ司法省は11月、中国のオンライン賭博業者「500ドットコム」(現ビット・マイニング)の元CEO潘正明被告を、海外腐敗行為防止法違反で起訴。なおも同社による日本のIR事業(カジノ)をめぐる贈収賄事件を捜査中である。
アメリカ司法省の捜査対象となっている外務大臣、そして11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で習近平に両手で握手する「服従ポーズ」をとった石破茂総理に、中国人犯罪者から日本人を守ることなどできるのだろうか。
(那須優子)