日本人高齢者を狙った医療費還付金詐欺により、多い日で1日に約2400万円、総額で約12億円をだまし取った――。
タイのパタヤに拠点を構える日本の特殊詐欺グループが12月19日に、タイ当局に拘束された。
タイのメディアによると、2024年11月、この詐欺グループのメンバーだった日本人男性がタイ警察に情報を提供していたことが判明している。この男性は罪悪感に苛まれ、バイクでパタヤ市から在タイ日本大使館へ逃走。日本人を標的とした犯罪グループの存在をブチまけたという。
このグループは以前、マレーシアにコールセンター・オフィスを構えていたが、2023年9月にタイへと移転。その後、パタヤを拠点として詐欺行為を続けていた。情報提供者となった男性は、自身が日本人をだましていることに耐えられず、今回の逮捕劇へとつながる証拠を当局に提出したという。
パタヤは年金生活者や早期リタイアした日本人が多く住むエリアとして知られている。ナイトライフが盛んで、かつてはぼったくりやスリといった犯罪が多いと言われていたが、
「最近は治安が良くなったように感じます」
と語るのは、パタヤ在住の日本人男性だ。
「タイに住む日本人同士のコミュニティーがあり、同胞への仲間意識が強いと感じます。そのため、日本人が日本人をだますようなことがあれば、すぐに噂が広まります。日本でなんらかの犯罪に手を染めて逃げてきた人がいても、パタヤ特有の緩い空気感やコミュニティーのつながりに触れて大人しくしている、という話をよく聞きますね」
今回、情報を提供した男性も、こうしたパタヤ特有の環境に身を置いて、良心の呵責を感じたのかもしれない。
タイ当局と日本の連携による迅速な解決と同時に、被害者への救済と今後の再発防止に向けた取り組みが求められるだろう。