福岡で行われる毎年恒例のビッグマッチ「レスリングどんたく」(5月3日、4日)を目前に控え、新日本プロレスの「団体最高峰のベルト」の価値が揺らいでいる。
2・11大阪大会、後藤洋央紀がIWGP世界ヘビー級選手権で、悲願の初戴冠。以降、防衛ロードが続き、4・12シカゴ大会では、挑戦者の海野翔太をGTR改でマットに沈め、4度目の防衛に成功した。白熱した試合内容はさておき、この一戦が物議を醸していたのである。
同大会はダブルメインイベントと大々的に謳われ、1試合目がIWGP世界ヘビー級王座戦。2試合目に棚橋弘至と三団体所属(新日本、AEW、DDT)のKONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)の一戦が組まれた。
その結果、見ている側にすれば、団体最高峰王座戦がセミ扱いにされたのは明白だったのだ。
2015年に竹下がDDTのみに所属していた頃、新日本のエースだった棚橋がDDTに参戦。しかし試合は全く噛み合わず、「全団体を横一列で見てもらっては困る」と激怒して因縁が生まれた。
とはいえ、それをわざわざアメリカのファンが事実上のメインで見たいカードだったのか、疑問が生じているのだ。
さらにIWGP世界ヘビー級選手権の「対戦相手」も、ファンを納得させていなかった。
後藤と戦った海野は1・4東京ドーム大会で、当時チャンピオンのザック・セイバーJr.に挑戦して敗れたばかり。それもあって4・5両国大会で、後藤がリング上で海野を指名した時は、客席から大ブーイングが沸き起こっていた。
「これまでの対戦相手を見ても、初防衛戦は引退目前の棚橋、V2戦では大ベテランの永田裕志が挑戦。4月14日には、レスリングどんたくの対戦相手にカラム・ニューマンが発表されたのですが、勝てば史上最年少記録以外のトピックはなし。ビッグマッチのカードとしては、ファンに弱いと思われても仕方ありません」(格闘技ライター)
団体最高峰のベルトの価値が、このままズルズル下がらなければいいが…。
(風吹啓太)