昨シーズンは6年ぶりに勝率5割の壁を突破し、リーグ2位に躍進した日本ハム。今季は栗山英樹政権下の2016年以来、9年ぶりの優勝が現実味を帯びてきた。
今オフは台湾MVPの林睿煬、現役ドラフトでソフトバンクから吉田賢吾、そして中日からFA移籍の福谷浩司が加入。特に先発と中継ぎの両方で実績がある福谷は、大きな戦力となる。
いや、一番の補強は選手ではなく「人工芝」ではないだろうか。これまで本拠地エスコンフィールドの内野は天然芝だったが、ついに今季から人工芝に変更となる。
エスコンフィールド初年度の2023年、日本ハムは12球団ワーストの94失策を記録。うち本拠地でのものが45もあった。昨年は75と減らしたものの、ソフトバンクの53と比べるとすこぶる多く、守備力改善が緊急課題であることは明らかだ。
日本ハムの失策が突出しているのは、なにも選手の守備力が劣っているからではない。エスコンフィールドの内野グラウンドは、北海道の寒さにも対応できる芽が長い天然洋芝が使用されており、硬いアンツーカーと相まって、一見なんでもないゴロが突然イレギュラーするなど、バウンドが合わせにくい球場なのだ。事実、遊撃手・水野達稀の12失策、三塁手・郡司裕也の11失策は、チームの足かせになっているといっていい。
一般的に人工芝より天然芝がもてはやされるが、エスコンフィールドの場合、スプリンクラーでの水撒きでベンチ付近は蒸した芝の香りが漂い、またガラス面から遠いため、太陽光を浴びさせるためにはどうしても毛足を長くせざるをえない。結果として、芝とアンツーカーの境目でイレギュラーが頻発することになる。
昨シーズンの失策数が減少したのは、芝の面積を減らしたり、短く刈り込んだことが原因といわれている。人工芝に変更となれば、守備率はさらにアップするだろう。
日本ハムにとって人工芝への張り替えは、大枚をはたいての大型補強よりも効果があるというわけだ。
(ケン高田)