いずれは佐々木朗希のライバルとなるだろう。ドジャースの国際アマチュアFA入団者の会見で紹介された、17歳のジョセフ・デング投手のことである。
デングは身長200センチ。すでに153キロの球速をマークする逸材だと紹介されている。だが、現地メディアがデングを取り上げた理由は「将来性」だけではなかった。南スーダンの出身で、アフリカ系選手との契約はメジャーリーグ史上初めてとなる。厳密に言えば、パイレーツもウガンダ出身の内野手と契約したため、このオフに2人の「異色の外国人選手」が誕生したことになる。
「身体能力が高く、ドジャースは数年先を見越して、大事に育てていくそうです」(現地ジャーナリスト)
そもそもメジャーリーグのドラフト会議はアメリカ、カナダ、プエルトリコの高校や大学に所属する選手が対象となり、それ以外の国や地域の選手は各球団に割り振られた「国際ボーナスプール」の範囲内で契約しなければならない。佐々木は「25歳以下、外国プロ組織在籍6年未満」だったため、この国際アマチュアFAのルールに定められている「国際ボーナスプール」の範疇での契約となった。100万ドルクラスで契約した選手は少なく、ほとんどが10万ドル台だ。
佐々木の650万ドルでの契約は、国際アマチュアFA入団者の中では破格の待遇となるが、こんな指摘も聞かれた。
「ドジャースは佐々木を含め、29人と契約しました。佐々木に650万ドルを用意するため、契約破棄になった10代選手が出たことも、現地では報じられています。国際独立野球連盟がMLB事務局やドミニカ共和国内のMLB支局、各MLB球団に『佐々木のような実績のある選手とルーキーリーグで勉強していく選手を一緒に扱う現行ルールの改正』を求める書簡を送りました」(メジャーリーグ関係者)
28人の同期入団選手たちは、佐々木に羨望の目を向けている。数年後、デングがメジャーリーグのマウンドに立った時、佐々木にどんな言葉をかけるのだろうか。
MLB公式サイトなどによれば、この将来のエース候補は昨年2月にソフトバンクの入団テストを受験し、不合格になったそうだ。ソフトバンクは「金の卵」を逃がしたことにならないか。デングのこれからを最も気にかけているのはドジャースではなく、ソフトバンクかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)