ヤクルトスワローズに「強豪」というイメージを持っているプロ野球ファンは、そう多くはないだろう。1950年に国鉄スワローズが発足してからリーグ優勝9回、日本一6回の成績は、他のセ・リーグチームと比較しても決して劣っているわけではないが、巨人のような常勝軍団と比べると、物足りなさを感じるのも確かだ。
特に1980年代は「暗黒期」といわれ、Aクラス入りしたのはわずか1回。その間、4回も最下位に沈んだのだから、まさしく苦難の時代だった。ところが1990年代に入り、野村克也監督が就任すると一転して、10年間で4度の優勝を果たす黄金期を迎えた。
Bクラスが続いたかと思うと突然、Aクラスへと快進撃する戦いぶりは「BBAの法則」と呼ばれており、そのツンデレぶりに応援をやめられない人は多い。直近2年間は連続5位のBクラスに終わったことから、この「BBAの法則」に照らし合わせると、今年はAクラス入りとなる。ファンの期待は膨らむばかりだ。
実は「BBAの法則」は、ケガ人に大きく左右されることがわかっている。2023年と2024年は侍JAPANに選出された主力の塩見泰隆がケガにより、ほぼ戦力にならなかった。昨年は中村悠平、松本直樹、内山壮真ら1軍クラスの捕手3人が全員、ケガで離脱するなど散々な年だった。
今季はFA権を行使したソフトバンク・石川柊太の獲得に失敗し、投手力の改善は期待できないものの、春季キャンプで小川泰弘が新球種シンカーをお披露目し、エース返り咲きの兆しを見せている。
全力プレーを続ける選手がいつケガに見舞われるかは予測不可能だが、「BBAの法則」が発動されるのか、見ものである。
(ケン高田)