大相撲初場所で自己最多の12勝を挙げて、初賜杯を豊昇龍と争った王鵬。優勝32度の大横綱・大鵬の孫である。次の春場所、はたして雪辱できるだろうか。稽古で訪れた佐渡ヶ嶽部屋で、王鵬は言った。
「もう充実感はないですね。来場所に向かっています。(決定戦で敗れて)あれで悔しくないなら、辞めた方がいいと思います。先場所の相撲を再現しないといけないけど僕もまだ若いですし、もうひとつ上を目指してやっていく」
埼玉栄高校時代ランニングで鍛え、入門後も合間を見つけては走る。支度部屋では立ち幅跳びのようなウォーミングアップに精を出している。相撲ライターは驚きを隠さない。
「191センチ、180キロの巨体で俊敏にジャンプをし、幅跳びもやる。支度部屋はそこだけ、独特の空気が流れています。四股を踏んだり、立ち合いの稽古はしても、ジャンプや幅跳びをする力士なんていませんから」
来場所は新三役となるが、江東区から出稽古先の佐渡ヶ嶽部屋には電車を利用する。
「マジメで実直。タクシーは使いません。トレーニングにしても、体重があるから走ること、跳ぶことはできなくても仕方ないね、という風潮に反発する」(前出・相撲ライター)
大相撲は神事だが、もちろんスポーツという面は強い。ウェートトレーニングやサプリメントを、積極的に取り入れているのだ。
「180キロあっても140キロの頃と同じような動き、それ以上の動きを心がけています」
そう語る王鵬の旋風は、大阪でも巻き起こることだろう。
(蓮見茂)