「大の里は序盤の負けが響いて、序盤ですでに3敗を喫した。豊昇龍も中盤の連敗で、今場所後の横綱昇進はなくなりました。持てる自力と星勘定から、優勝戦線を盛り上げるのは、日本大学出身の2人でしょう。尊富士の二度目の優勝か、金峰山の初優勝か。俄然、面白くなってきましたね」
相撲ライターが言うように、大の里を含む3大関が総崩れの大相撲初場所は、平幕力士の躍進が目を見張る。それが尊富士と金峰山、そしてもうひとり、王鵬である。
それは9日目、先輩・金峰山(写真)と後輩・尊富士が直接、激突した。尊富士は得意の素早い立ち合いで当たり、右を差しておっつけ。勝負あったかと思ったが土俵際、金峰山は無我夢中の小手投げで尊富士を転がし、9連勝となった。
大学の先輩に負けはしたが、翌10日目の尊富士は、頭を下げて突っ込んできた一山本の動きを注文相撲で突き落とし、勝ち越しを決めて言った。
「イメージどおりではないけど、一瞬の判断。気配を感じた」
尊富士は昨年の春場所で、110年ぶりとなる衝撃の新入幕優勝を果たした。が、負傷した右足首の回復が遅れ、5月の夏場所を全休。十両に転落した7月の名古屋場所も途中出場して途中休場となる。9月の秋場所でようやく十両優勝し、幕内に返り咲いた。ポテンシャルの高さは間違いない。
金峰山は2023年の春場所に新入幕。ここで11勝し、敢闘賞を受賞している。
日大出身力士と王鵬との闘いがいよいよ、熾烈になってきた。
(蓮見茂)