実戦5試合で15打数6安打、打率4割、3本塁打、6打点、OPS1.471。育成出身の選手がいきなり「覚醒」するとは、誰も予想していなかったのではないか。
広島の二俣翔一が絶好調である。ここまで3本塁打はチームトップで、安打の半分が柵越えなのだからハンパない。
2020年の育成ドラフト1位で広島に入団した二俣はもともと捕手だったが、2022年に内野手にコンバートされると、主に三塁手としてウエスタン・リーグ62試合に出場。打率2割4分6厘、3本塁打、18打点の成績を残し、オフに支配下選手登録された。
広島は当初、打てる捕手として育成する予定だったが、高校時代に遊撃手だったこともあり、強肩を買われて内野手にコンバート。昨季は内外野6つのポジションを守るなど、ユーティリティープレーヤーとして1軍に定着した。1軍ではまだ1本塁打だが、今キャンプでポンポンと長打が飛び出すようになったのは、「岡本塾」のおかげだろう。
二俣はこのオフ、巨人の岡本和真に弟子入り。バットを大きく揺らしながらタイミングをとる、さながらDeNA・宮﨑敏郎のような打法に変更し、岡本からお墨付きをもらった。シーズンに入っても今の状態が続けば、新井貴浩監督はユーティリティーではなく、ポジションを固定して使いたくなるだろう。
悩ましいのは、その守備位置だ。内野には鉄壁の守備を誇る菊池涼介、矢野雅哉、小園海斗ら不動のレギュラーがいる。一塁に外国人が起用されることになれば、場合によっては外野起用があるかもしれない。
広島は長らく三塁手の大砲が不在だった。守備力には定評があることから、本塁打を量産することができれば、阪神・佐藤輝明以上の選手になることだろう。
ちなみに、プロ野球ゲーム「プロ野球スピリッツA」での二俣の評価を見ると、レアリティには「覚醒」の文字がある。まさに期待の「ロマン砲」誕生といえよう。
(ケン高田)