プロ野球の守備の名手に贈られる「第53回三井ゴールデン・グラブ賞」が発表された。セ・リーグに移って初受賞となった広島・秋山翔吾は、西武時代の2019年以来5年ぶり7度目の栄誉だ。
今季から三塁手に転向した巨人・坂本勇人は、遊撃手部門と合わせると、通算6度目の受賞を果たした。
他には吉川尚輝(巨人・二塁手部門)や矢野雅哉(広島・遊撃手部門)、岡林勇希(中日・外野手部門)、甲斐拓也(ソフトバンク・捕手部門)、栗原陵矢(ソフトバンク・三塁手部門)、万波中正(日本ハム・外野手部門)などが名を連ねることに。
ここで目を向けてみたいのは、これら球界を代表する守備の名手が使用するグラブのメーカーはいったいどこなのか、という点だ。
セ・パ両リーグ受賞者の1番人気は「ミズノ」で、巨人・坂本のほか、菅野智之、岡本和真、山本祐太、山川穂高、栗原の6人が使用。次に秋山、矢野雅哉、岡林ら3人の「SSK」と、吉川、小深田大翔、源田壮亮ら3人の「ZETT」が並ぶ。
このメーカー3社は、全プロ野球選手の使用グラブのトップ3を占める。特に「ミズノ」は、2位の「ZETT」に約2.5倍の差を付けてのダントツ人気。同社では、グラブ作りマイスターとして知られる岸本耕作氏が、11月8日に厚生労働省から、2024年の「卓越した技能者(現代の名工)」に認定されたばかり。多くの選手がミズノのグラブを選ぶのも納得だ。
受賞者で特筆すべきは岡本だ。岡本は2020年に「ローリングスジャパン」とアドバイザリースタッフ契約を結んでおり、三塁を守る際には同社のグラブを使用している。ところが一塁での守備時は、「ミズノ」のファーストミット。その際、スポンサーに配慮して「ミズノ」のラベルを剥がしているのは、知る人ぞ知る話だ。
昨年のWBC準決勝メキシコ戦では、源田が7回の守備で、二盗を試みた一塁走者を的確な読みでタッチ。「源田の1ミリ」がトレンド入りすると、愛用する「ZETT」のグラブがアマチュア選手の間で爆売れした。
守備のスペシャリストたちが使っているこだわりのグラブは、アマチュア選手の憧れでもある。今年のゴールデン・グラブ受賞者を見て、購入するグラブメーカーを決める人は多いのではないだろうか。
(ケン高田)