商業施設「新宿アルタ」が2月28日をもって閉館した。このビル7階で収録されていたのが、1982年から2014年まで32年にわたって放送されていた「笑っていいとも!」(フジテレビ系)だった。
そんな名物番組でスキルを磨いたのが、中居正広、香取慎吾、草彅剛という元SMAPのメンバーだ。香取は1994年4月から、草彅はその1年半後にレギュラーとして番組に参加しているが、そんな3人をめぐる「事件」があった。
香取は2001年11月、ゴルフ場で打球が左目尻を直撃する事故に遭って6年ぶりに欠席したタモリに代わり、司会を務めた。
草彅にとっても思い出深い番組だが、やはり避けて通れないのは、2009年4月に起こした「泥酔全裸事件」だろう。公然わいせつ容疑で逮捕されて約1カ月間、活動を自粛した。
活動再開後、初の番組出演が「いいとも」。5月29日の放送では、久本雅美ら共演者が「お帰り!」と声をかける中、
「1カ月も休んでしまいましたが、今日から復帰します。『いいとも!』の生の空気を感じることが、生活の一部だと分かりました」
神妙な顔つきで、そう挨拶していたものだ。
この2人と同様に、タモリのMCテクニックを間近で学んでいたのが中居だった。2008年11月21日、「テレフォンショッキング」にゲスト出演した仲間由紀恵が、次のゲストとして中居を指名した。
番組レギュラー出演者をこのコーナーに呼ぶのは、放送開始26年目にして初めての珍事。翌週の月曜日、火曜レギュラーの中居が実際に登場したのだ。ただ、次のゲストとして草彅、香取を指名するも、続けざまに断られた中居はなんと、ライバル局TBSの安住紳一郎アナに、掟破りの電話。安住アナは「上司に相談しませんと…」と困惑したものの、TBSが出演をOKし、25年ぶりに他局のアナウンサーが「いいとも!」に現れることになった。
そんなSMAPにとって大切な番組だった「いいとも!」は、2014年3月31日に終了。香取は翌4月1日、主演ドラマ「SMOKING GUN~決定的証拠~」の第1話完成披露試写会で、後番組「バイキング」を見た時に新たな一歩が始まっていることに気付いた、としながら、
「『いいとも!』がなければ、SMAPもなかった。番組が終わって新しいSMAPが始まる」
と話していたが、その2年後、グループは解散する。もし「いいとも!」が続いていたら、SMAPはどうなっていたのだろうか。
今年1月23日、女性トラブルの責任を取って、中居は芸能界を引退。それに呼応するかのように、彼らの学び舎だったアルタが閉館した。もちろん偶然だが、何か因縁めいたものも感じてしまうのだ。
(魚住新司)