ベテランは様々な場面で「存在感」を発揮するようだ。
ドジャースの大谷翔平に第一子となる女児が誕生し、お祝いムードに包まれた。大谷自身も出産に立ち会うため、4月18日のレンジャーズ戦から3日間の産休制度を使い、「父親リスト入り」していた。その18日の舞台裏が見えてきたのだ。
「マイナー契約のベテラン、エディ・ロザリオがグラウンドに出て、ウォーミングアップをやっていたんです。全体練習が始まるのが午後4時過ぎ。選手たちは3時前には各自でウォーミングアップを始めますが、各メディアはロザリオが張り切っているのを見て『何かあったのか』とザワついていました」(現地記者)
マイナー契約の選手がウォーミングアップをしているということは、試合に出る準備を進めていたわけだ。米メディアは「誰か負傷者が出たのか」と探りを入れていた。
「クラブハウスにメディアが入れるのは午後4時から。その定刻になって、クラブハウスに入った各メディアが周囲を見渡したんですが、緊迫した雰囲気はなく、むしろほのぼのとしていました」(前出・現地記者)
背番号17のユニフォームはブラ下がったまま。米メディアは「欠場は大谷」とわかったが、この時点では理由が真美子夫人の出産であることに確証が持てなかったという。
「チームは第一子の出産時期を明らかにしていませんでした。でもほのぼのとした雰囲気から、多分そういうことだろう、と」(前出・現地記者)
米メディアはグラウンドに移動すると、そこにデーブ・ロバーツ監督が現れ、「ビッグニュースだ!」と言う。ベンチに腰を下ろし、コトの経緯を説明したそうだ。
ロザリオは大谷の代役でDH出場。18日は無安打ながら、翌日はクリーンヒットを放っている。
ロザリオは近年こそ成績が下降ぎみだが、2021年ブレーブスのワールドシリーズ制覇に貢献したスラッガーだ。今春のスプリングトレーニングではライブBPで佐々木朗希と対戦。全球フォークボールというえげつない攻めを受けて、三振に倒れている。佐々木のフォークボールは入団前から一目を置かれていたが、ロザリオを翻弄させたことで、ドジャース首脳陣は「通用する」と確信したそうだ。
大谷のチーム再合流と同時にお役御免となったが、まだ33歳。夏場以降、大谷とともにスタメン出場する試合が出てきそうだ。
(飯山満/スポーツライター)