古代エジプトの医学書には薄毛の治療法が記載されているが、5世紀に書かれた東洋の医学書にも同様に記されていた。薄毛対策は人類の永遠の課題だ。東洋の医学書には馬の油で毛が生えるとあった。
馬の油の効能・効果は中国六朝時代から知られ、当時の医学者・科学者であり、道教・茅山派の開祖でもある陶弘景はその著「名医別録」に「馬の油は髪を生ず」とその発毛効果を記している。
馬の油は、わが国には奈良時代に渡来した唐の鑑真和尚により伝えられたといわれている。馬油(バーユ、マーユ)と呼ばれて昔より火傷などの特効薬として親しまれ、なかでも江戸時代に爆発的な人気のあった「ガマの油」の正体も、実は「馬の油」だったともいわれているほど。その馬油が再び注目を浴びているのは、含まれている優れた発毛成分によるものだ。東洋医学研究家の吉元瑞樹氏が言う。
「馬油には悪玉コレステロールを減らす不飽和脂肪酸のオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸が多く含まれています。人間の脂肪と成分が非常に近く、皮膚浸透性に優れ、血行促進の効果が高いため、きれいな髪の毛を作る元になります。さらにパルミトレイン酸を約10%も含んでいます。これは、中高年になると急激に減ってしまう成分。頭皮の血管を丈夫にするので毛根を強くし、白髪や抜け毛を防ぎ、発毛効果を高めます」
やり方は、馬油を頭皮につけ、もみこむようにマッサージするだけ。猪(豚)毛ブラシなどでマッサージを続けるとさらに効果は高まるという。
「だいたい1カ月くらいで発毛してきて、細い毛も太くなってくる」(松本栄子・ヘアコンサルタント)
馬油は手頃な値段で買える。一度試してみてはどうか。
(谷川渓)