アメリカ西海岸に続き、日本と韓国でも史上最悪の山火事が頻発している。季節の変わり目のこの時期、強風が吹くのは毎年のことで、今年に限ってなぜここまで大規模火災が相次ぐのか。
岩手県大船渡市の山火事発生後、1カ月以上が経った。焼失面積は約3000ヘクタール。90代の男性1人が亡くなり、漁村では漁業関係者の船のエンジンが盗まれる火事場泥棒被害が相次いだ。
3月23日には愛媛県今治市、岡山県岡山市と熊本県玉名市で、25日には宮崎県宮崎市でも山火事が相次ぎ、農地や養鶏場に甚大な被害が出ている。各県史上最悪の山火事だ。
韓国の山火事はさらにヤバイ。判明しているだけでも慶尚北道、慶尚南道、蔚山(ウルサン)などの嶺南(ヨンナム=慶尚道)地域の8市郡、74カ所で同時多発。少なくとも死者28人、負傷者は32人。消失面積は約4万ヘクタール、被災者は約1万8000人にのぼっている。
最初の山火事は3月21日、朝鮮半島の南東部・慶尚南道山清郡で発生した。その後、隣接する慶尚北道義城郡、安東市、青松郡、英陽郡、盈徳郡にまで拡大。当初は乾いた強風と飛び火で燃え広がったとみられていたが、その後、慶尚北道義城郡の火事は「墓参りに扮した集団」による失火の疑いが強まった。
異変に気付いた近所の住民が、山から降りてきた、墓参りに扮した集団と遭遇。声をかけたが言動が不自然な上、急いでその場から複数の車で走り去ったという。出火元とみられる墓地の周りにはライターが散乱しており、この住民はライターの残骸を動画サイトにアップ。逃走した車のナンバープレートも撮影し、地元警察に提出したという。
他の火災現場の火元でもゴミを焼却した痕跡が見つかっており、わざわざ強風の日にゴミや線香に火をつける、なんとも不自然なことが起きている。
もし自然発火の証拠が見つからなければ、日本の山火事も調査する余地はあるだろう。
(那須優子)