平均視聴率12%弱と、その爆死ぶりばかりが話題になるNHK大河「花燃ゆ」だが、群馬県民にとっては密やかな楽しみがある。
大沢たかお演じる楫取素彦が群馬県令に任命されたのを機に、物語の舞台は群馬県に移って久しい。ここで、楫取と井上真央演じる久坂美和は、当時の主要産業だった“生糸”を守るべく奔走。そんな中、2人は一風変わった農法で農業を営む船津伝次平に出会う。
この男の名を聞いて、多くの視聴者は“?”だったに違いない。しかし、群馬県民なら誰もが知っている名前なのだ。群馬県出身のライターが語る。
「群馬には『上毛かるた』という郷土かるたがあって、県内の学校では必修と言ってもいいくらい普及しています。県外で同郷の人に会った際には、読み札を暗記しているかどうかで確認し合うくらい。そのかるたの“ろ”が『老農船津伝次平(ろうのう、ふなつでんじべい)』なんです。他にも“に”は『日本で最初の富岡製糸』など『花燃ゆ』ゆかりの地や名前が出てくる。そのたびに、上毛かるたが話題になって盛り上がるんです」
低視聴率ではあっても、群馬県民の郷土愛を呼び覚ますには一役買ったようだ。
(李井杏子)