テリー でもさ、局アナって高給じゃない。それを捨てる不安なんかもあったんじゃないの。
上田 それは全然なかったです。やりたいことをやろうと思えば、何かしらのリスクは絶対あるし、そのリスクすら楽しめるなって思えたので。
テリー 辞めることについては、誰かに相談した?
上田 親や親友には、思ってることを伝えました。みんな、私が一度決めたらテコでも動かないことがわかっているので(笑)、特に何も言われませんでした。
テリー 会社の反応はどうだった?
上田 いやあ、それが誰にも引き止められなかったんですよ(笑)。みんな「頑張りなさい」って。
テリー でも、周りのアナウンサー仲間は、さすがに驚いてたろ?
上田 菅谷大介アナウンサーからは「大胆なことするね」って言われましたね。でも、男性の先輩はだいたい「上田、格好いいよ!」「刺激になった」って。
テリー 男のほうが家族やローンがあったり、なかなか思い切った決断ができないかもな。ところで、日テレのアナウンス部って、あらためて振り返ってみて、どんな印象?
上田 職人の集団です。本当に目配り、気配り、心配りがすばらしい方ばかりでした。
テリー でもさ、デリカシーのない葉山(エレーヌ)みたいのもいるじゃん。
上田 アハハハハハ! 確かに、エレさんはぶっ飛んでいますね。すごく個性が強い(笑)。
テリー 何なんだろうな、あいつ。ノリがブラジル人みたいだよな。
上田 確かに(笑)。アナウンス部でも、エレさんの前に座ると動けなくなるんですよ。エレさんの前の席でホームページ用のエッセイを書いた時、2時間で30字ぐらいしか書けなかったです(笑)。
テリー あいつ、ずっとしゃべってるからな。この前、飯食べようと思って代官山の店に入ったら、あいつが子供といたんだよ。
上田 え、偶然ですか?
テリー そうそう。で、話しかけたら、「今どれだけ子育てが大変か」「仕事をしたいけど。子供がいるから思うようにできない」なんて話を1時間半ぐらいしゃべり続けてさ。
上田 フフフ、エレさんらしいですね(笑)。
テリー 「だから今、全然お金がなくてヘロヘロ」なんて言うからしょうがない、俺が食事代払ったんだよ。
上田 ええっ、テリーさん格好いい!
テリー もう、俺に金を出してほしいオーラがあふれ出ていたからさ(笑)。
上田 いろいろな先輩がいましたけど、エレさんは特別すごく明るい人ですから。ご結婚されて出産して、さらにパワーアップして日テレに戻られましたよね。
テリー あいつ、絶対再婚できないよな。あれを受け止めるのは普通の日本人には無理だよ(笑)、何か特別な力量がないと。
上田 でも、退社をすることを直接伝えたら。エレさんは泣いてくれました。
テリー ‥‥まさか、「えーん!」って?
上田 ええ、声を上げて(笑)。「何で辞めるなんて言うの?」って叱ってくださって。本当に私のことを心配してくださいました。
テリー でもね、あいつは廊下に出た瞬間に、そんな感動の場面もケロッと忘れてるタイプだから。
上田 アハハハハ! そうかもしれないですね(笑)。でも、エレさんをはじめ、本当に個性の強い先輩方ばっかりで、すごくいろいろな方と一緒に仕事をさせていただいて。本当に日本テレビのアナウンス部に所属できてよかったなって思います。