低レベル脚本に柳葉敏郎が「俺の名前を消せ!」
長澤まさみ「テング素顔」にさんまがキレたッ
過去にあまたある残念なドラマには、それぞれに大コケした事情と原因が存在する。その典型的なケースを例に、解明と分析!
まずは、黒木瞳(51)と坂口憲二(36)のW主演作「愛するために愛されたい」(03年・TBS系)。宇宙開発プロジェクトが舞台のラブストーリーだが、現実感のなさから、11話の予定が10話で打ち切りになった。問題は「脚本」。テレビドラマ研究家・古崎康成氏が指摘する。
「ストーリーが迷走し、眠くなるような展開でした。脚本に不満を抱いた柳葉敏郎(51)が不満を募らせ、途中降板したと報じられるほどでした」
宇宙飛行士役の柳葉は、出火した家に取り残された子供を救うために飛び込み、突然の「事故死」。当時、柳葉の事務所もTBSも「事故死は予定どおり」と、トラブルによる降板劇を完全否定したが、
「ブチギレた柳葉が『テロップから名前を消してくれ』と申し出て、実際にそのとおりになりました」
柳葉が見放すほどの脚本の完成度の低さと、それに比例するドラマの出来、スタッフのヤル気喪失。これらが相まって、視聴者離れに収斂したのである。
「演出のまずさ」が原因となったのは、明石家さんま(56)と長澤まさみ(24)による「ハタチの恋人」(07年・TBS系)。50年以上の伝統を誇る「日曜劇場」で、屈辱の平均視聴率1桁台をマークしてしまった。古崎氏が言う。
「長澤の大ファンを公言していたさんまの熱烈なラブコールが実現し、大ヒットを予感させたものでした。ところが、初回視聴率13%、後半は6%台なんてこともありました。さんまのコミカルさが発揮されていなかったことが最大の理由でしょう。台風の中を歩くシーンさえも、おもしろみに欠ける演出でした」
当時のドラマ関係者は、現場の空気のよどみっぷりを回想する。
「当時の長澤はU-19女優のトップクラスと言われており、少々テング気味。事務所もお姫様扱いでガードが堅い。さんまはイメージとのギャップに驚き、世間話もままならぬ状況に『なんやねん』とテンションが下がりっぱなし。これじゃ、さんまのコミカルさと長澤の爽やかさを演出で表現できませんよ」
「マンガの原作とイメージが違いすぎる」という理由でウケなかったケースもある。その代表格が、香取慎吾(35)主演の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(09年・TBS系)と、亀梨和也(26)主演の「神の雫」(09年・日テレ系)だろう。
「どちらも主役がジャニーズ。まさにキャスティング先行の極致であり、作り手側の創作意欲がまるで伝わってきません。それは視聴者にとっても同じこと。期待薄だからこそ、初回の視聴率からして低いんですよ」(古崎氏)
「神の雫」は初回こそ10.3%だったが、すぐに4.7%まで落ち込み、1話分がカットされた。
「こち亀」はドラマの失敗に懲りず映画化(松竹配給)までしたが、これも大惨敗。映画ライターが話す。
「明らかに、主役のキャスティングミスです。ヒロインの麗子を演じた香里奈(27)がハマリ役の可能性もあっただけに残念。あのピンクのミニスカコスプレは、原作者の秋本治氏も絶賛していましたからね。映画化は当初、(松竹とは)別の映画会社に打診して、断られたそうです」
さらに、「安易なリメイク作品」の失敗例がコレだ。
伊藤英明(36)主演の「孤独の賭け」(07年・TBS系)は、78年の初放送以来、4度目の映像化として注目を集めるも、現代版としては不評で、平均視聴率7%と低空飛行。
打ち切りになった、佐藤浩市(51)主演の「高原へいらっしゃい」(03年・TBS系)に関しては、古崎氏が次のように評するのだ。
「76年に初めて放送された時は一部の視聴者に深い感銘を与え、ドラマをきっかけに脱サラしてペンション経営をするなど、影響された人も現れたそうです。そのリメイク版だけに、さまざまなサブストーリーが付け加えられるなどの努力は感じられました。でも、新しい要素を加えれば加えるほど、元の山田太一オリジナルの素朴さが光ってしまった」
いじくりすぎて、せっかくの素材の味を台無しにしてしまったのである。
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