「せやけど、クスリをキメていない時の清原は『いつバレるか』、おびえているようやったわ」
それを象徴するような話がある。
06年春、野村氏はキャンプで高知を訪れていた清原被告に対し、薬物の“贈り物”をしたことを、これまで週刊アサヒ芸能含め一部のメディアで明らかにしてきた。
「知り合いの女の子に選んでもらったディスコのようにキラキラした包装紙にクスリを包んでホテルのフロントに『清原さんへ渡してください』と伝えたんや」
野村氏に似つかわしくない柄であるのは間違いない。清原被告もまさか野村氏からの贈り物だとは思わなかっただろう。
「会うことはできへんかったけど、実はその後、清原から電話が来てな。『脅しや、脅しや』言うんや。そこで俺はとぼけて『何ですか、いつもクスリを欲しがったでしょ? 50グラムくらいプレゼントしますよ』と言い放ったんや。そしたら清原は『俺だって一生懸命生きとるんや』とつぶやいとったわ」
野村氏は「俺が言える立場やないけど、清原は本当にバカや」と、ポツリと付け加えた。5月17日から始まった公判で、清原被告には愚行への審判が下される。野村氏はもし傍聴券が入手できたら「おい、もっと前からやってるやろ」「(黙ったら)フラッシュバックしとんのか!」と、ヤジを入れてやろうかと笑いながらも、自身の経験を踏まえ清原被告の量刑を予想する。
「覚醒剤所持・使用・譲り受けの3つの罪があるから断言はできんけど、きちんとした裁判をすれば執行猶予になるやろ。俺なんて味方がおらん裁判やった。弁護士と『今後の仕事は漁師をやります』と打ち合わせしとったのに、いざ法廷で言ったら『キミは船を持っていないだろ!』とか、弁護士がキレだしたんや。身元引受人も『彼はプロとして成績を残すために覚醒剤を使ったんです』とか言いだしおった。覚醒剤は引退後にグリーニーの代わりに使っただけやのに‥‥」
コントと見間違うばかりの裁判だったが、野村氏は懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を勝ち得た。清原被告も見通しどおり執行猶予付きの判決が下されると、その先には更生の日々が待ち受けている。
「結局は、『クスリをやめよう』という強い意志があるかどうかや。俺の告発も含め、捕まる前に何度も機会はあったはずや。ただ、清原が『野球に恩返ししたい』という気持ちはホンモノやと思っとる。同じ前科者同士やけど、俺が投手、清原が野手を指導して野球チームを作るのもええな」
野村氏なりの辛口のエールなのだろう。記者が、
「ならば仲直り対談をしましょうか」
と提案すると、
「清原が受けるならな」
そう苦笑いしながらつぶやくのだった。