社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「ガンマGTPの数値が上がる“2つの理由”。2週間の断酒で改善しなければ食事に注意」

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 そろそろ4月に受けた健康診断の結果が通知される季節。中でも気になる数値に、ガンマGTPがあります。

 ここで質問です。ガンマGTPの値が高い場合、注意すべきはアルコールと食事のどちらでしょうか?

 一般的にガンマGTPとは、酒の飲みすぎを示す指標だと勘違いされていますが、実は数値を上げるのは、脂肪肝と薬物の2つがあります。飲酒せずとも肥満が進行すれば数値は上がりますし、薬物と言われる中には当然、アルコールも含まれるので飲酒でも上昇します。アルコールのほか、風邪薬やサプリメントなどでも上がります。

 ではガンマGTPの数値とは何を指すのでしょう。わかりやすく言えば「壊れた肝臓からボロボロと出てきた肝臓の壊れカス」の値です。血液中に流れ出てきた「壊れカス」により、肝臓の状態を測る指標となるわけです。

 肝臓とは新陳代謝により、古いカスを壊して新しく機能させますが、その健全な数値は男性で50、女性で30前後。80や90になると黄信号です。アルコールによる数値の上昇は、禁酒することで正常値に戻ります。さらに症状が進行すると、数値が150や200になりますが、こうなると赤信号で、飲みすぎを超えて「アルコール性肝障害」という立派な病気です。

 痩せているのにガンマGTPの数値が高ければアルコールを減らすべきですが、太っていて数値が高い場合、アルコールと食事のどちらが原因かはわかりませんので、2週間ほど禁酒して再検査をしてください。数値が目に見えて下がっていればアルコールが原因です。逆に、2週間も酒を飲まなかったのに数値が変わらなければ食事のとりすぎが原因ですので、痩せる努力が必要です。

 一度実験してみれば、一発で原因がわかるはずです。お相撲さんのように食事とアルコールの両方が要因ということもあります。

 また、黄疸が出る「急性肝炎」という病気の場合、この数値は5000や1万に上がります。こうなると「肝臓が半分以上壊れている」状態です。

「週に1度は休肝日を」などと言われますが、1日抜いたところで劇的によくなるものでもありません。最低でも「4日飲んで3日休む」ぐらいがちょうどいいのです。

 また、アルコールではなく食事が原因の場合、炭水化物や脂肪などバランスよく減らすべきですが、現実問題として、現代の日本人は炭水化物だけがオーバーしていますので、ごはんや麺類を1食抜いてください。午前中のパフォーマンスに影響しますので、夕食で抜くのがベストでしょう。

 また薬物の摂取についても注意が必要です。サプリメントと聞いて「体にいい」というイメージを持つ人も少なくありませんが、サプリメントのほとんどが「薬として製品化されなかったもの。効果がないため廃番になったもの」です。本当に効果があるなら製薬会社が製品化するはずで、悪く言えば、薬の落ちこぼれです。

 昨今はやっているウコン成分の入った錠剤ドリンクでも、ガンマGTPの数値は上がります。二日酔いや悪酔い防止でウコンを飲む人は多いですが、ウコンで有名な副作用は肝機能障害です。肝臓に鉄分がたまりやすいC型肝炎など、肝臓に障害を持つ人がウコンを飲むと、肝臓の鉄分が増えて症状を悪化させます。

 いずれにしても、ガンマGTPの数値が上がったら、すぐに生活習慣を変えるべきなのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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