いい大人がビービー泣いてどういうつもりか。プロ野球ファンからシラケ声が聞こえてくる。
ドラフトも日本シリーズも終わり、プロ野球はストーブリーグに突入。戦力外通告を受ける選手から、球団と銭闘を繰り広げる選手など、その悲喜こもごもにファンも試合以上に一喜一憂している。なかでも、毎年注目されるのがFA移籍。今年の目玉、オリックスの強打者・糸井嘉男には阪神タイガースが猛アタック。双方の球団も上限まで条件を提示しているようで、どうやら今週末にも残留かトラ移籍かの結論が出そうなフンイキだ。
糸井のようなビジネス的FAが本来の姿であるはずだが、毎年、どうにもファンが釈然としないFA宣言があることは否めない。つまり、誰のために流しているかわからない、涙のFA宣言だ。
「今年でいえば、日ハムの陽岱鋼が7日に涙で会見。若返るチームの中で『自分が戦力構想に入っていないと感じた』とコメント。実際、球団もコスパがいいとはいえないと考えていたようです。ですから、陽の『寂しいけど』という涙に偽りはないでしょう。とはいえ、移籍によって1億6000万円の年俸からさらに増えるはずですし、複数年契約も間違いない。ある意味でうれし涙に見えるといったら嫌味でしょうか」(週刊誌記者)
それだけならよかったが、陽に続き、横浜DeNAからFA宣言の山口俊が8日、囲み取材で涙を流したことで野球ファンのウンザリが頂点に達したようだ。
「ラミレス監督になり、ついにクライマックスシリーズに出場。来季はさらに上を目指すとファンが大盛り上がりのDeNAで、シーズン終了後の全体ミーティングにも主将ながら一人だけ参加せず、球団の引き止めも結局無視してFA宣言の山口。それで涙を流されても『はぁ?』と思いますよね。巨人が移籍先の有力候補ですが、山口の『(他球団の)自分の評価を聞きたい』と言いながら流す涙に、『チームやファンを無視してなんでビービー泣いてんるんだ』と一斉にシラケ声です。横浜には生涯一球団を貫いた三浦大輔もいましたし、最近では黒田の男気ドラマも有名。この山口の自分本位のFA宣言の涙が“ビジネス涙”と揶揄されるのは当然でしょう」(前出・週刊誌記者)
いくら正当化しようが、プロ野球のFAはマネーゲーム誘発以外の何物でもない。「泣くぐらいならやめたら?」「実力以上の大金が欲しいから移籍するのにいちいち泣くな」「ミーティングにも出ない不良社会人は要らない」と、DeNAファン総出で批判だ。
かつて広島カープファンの声を無視して、巨人へ移籍した大竹寛投手の二の舞にならないことを祈るばかりだ。
(中里けい)