その「池田小児童殺傷事件」の殺人鬼、宅間守のことを思い起こさせたのが、16年7月26日未明に起きた戦慄の「相模原19人刺殺事件」である。
戦後最凶の刺殺事件は、数秒ごとに1人のペースで無抵抗の入居者を殺害した犯行だった。
殺人鬼の名は、植松聖(26)。襲撃した相模原市の傷害福祉施設の元職員だった青年だ。犯行は約45分間で計19人を刺殺し、26人に重軽傷を負わせた。殺されたのはいずれ障害者で、戦後最悪の大量殺人であった。
事件直後に、この事件の闇の深さを示す驚愕の新証言を報じた。
「私は植松聖と『黒幕』に『第2の大量殺人』を持ちかけられていた」(16年8月18日・25日合併号)
それは植松と面識がある20代の男性の証言だった。
要約すると、
【1】16年7月4日、男性は「黒幕」とされる人物から植松聖を紹介された。
【2】3人で六本木で面談したときに、「黒幕」と植松から「安楽死を変える革命家Shudan」というグループに所属していることを明かされて、活動費100万円の“カンパ”とともに同グループ入りを進められた。そのグループのメンバーは20代前半の男女12名、イスラム過激派を名乗る人物もいるという。
〈「グループの目的は、安楽死を変える革命のためにやっているそうです」(20代の男性)〉
植松は外出時には落合尚之氏の漫画「罪と罰」全10巻と、アドルフ・ヒトラー「わが闘争」を持ち歩き、自分のバイブルだと説明していたという。
証言した男性はグループ参加を断り続けたが、逆に“脅迫”めいた言動で脅され続けたという。
だが、驚くべきは、今回の襲撃計画以外にも、実はもうひとつの「襲撃計画」をそのグループが練っていたというのである。
「黒幕」らしき男が組織のリーダーと目されて、彼らが企てた「3カ月計画書」なるものが存在していたというのだ。
狙われた施設の管轄の神奈川県警に問い合わせたところ、
「(計画の有無については)捜査に関することなので、お答えできない」
との回答だった。
新たな大量殺人鬼の出現に慄き、さらにはそれを組織だって計画する「組織」と「黒幕」の存在まで、不気味な姿が浮かんできた。
この「闇の正体」とは…。