いよいよ年末、ゴルフ界も来シーズンを見据えた動きが慌ただしい。「引退」の決断が現実味を帯びていたのはジャンボ尾崎だが、なんと「現役続行」を宣言。70歳のレジェンドを再び奮い立たせたのは、世界と戦う日本のエースだった。
11月16日から4日間にわたって行われた「ダンロップフェニックストーナメント」は、世界ランク4位の松山英樹(25)が今季唯一参戦する国内ツアー戦とあって話題を呼んだ。同時に日本ゴルフ界のレジェンド・尾崎将司(70)の去就発言にも注目が集まった。スポーツ紙デスクが話す。
「いくつもの新聞社が松山番、石川遼番、そして御大のジャンボ尾崎にも番記者を送り込んでいた。中でも今春、『今年、結果が出なければクラブを置く』と崖っぷち宣言していたジャンボの動向は注目の的でした」
今季ツアー13試合に出場して予選通過ゼロ、5試合で途中棄権と、誰の目にも“思い出の地”での引退発表を予感させていた。前出・スポーツ紙デスクが続ける。
「国内屈指のこの大会は、海外メジャー制覇につながる舞台としても有名。80年覇者のトム・ワトソンが翌年のマスターズ、あのタイガー・ウッズも04年、05年と連覇し、05年と06年の全英オープンで勝利した。昨年・今年と2連覇した、ブルックス・ケプカも今季の全米オープンを制している。その大会でジャンボも過去3勝し、世界に実力をアピールしたものだった。今年のジャンボは、10月のホンマ・ツアーワールド・カップで、年齢以下のスコアで回るエージシュートを達成。13年4月にレギュラーツアー史上初の快挙を成し遂げて以来、2度目の偉業に気合いが入っていた」
一方、尾崎が逃した世界の頂点にあと一歩の松山は、公式会見で「来年の4月にいい状態でできるように取り組んでいる」と、すでに来年4月のマスターズに照準を定めていた。
その2人が今大会の予選ラウンドを一緒に回るとあって、大会前日から会場は大いに盛り上がった。現場を取材したゴルフ担当記者が話す。
「前日までの松山はいつもどおりにぶっきらぼうでしたが、プロアマ戦のあとに一変した。ジャンボに挨拶に行き、『同じ四国出身で、どんどん立派になっていくな。米国制覇だもんな』とホメられててれ笑いするシーンまでありました。一方でジャンボも『俺は日本しか見てなかったけど、あいつは世界を見てる。大したもんだ』と日本の若武者の成長がうれしかったようです。同組対決について聞かれた時も、『20年前ならよっしゃー、と思うんだけどな』と笑いを誘いつつ、目の奥の輝きが増していた(笑)」