海外の偉人も、偉業には食生活が連動していたようだ。時代を越えワールドワイドに振り返ってみよう。
人類史上最大の大モンゴル帝国を築き上げた男、チンギス・ハンは65歳の生涯を終えるまで、そのエネルギー、スタミナが枯れることがなかった。女性は略奪の対象であり、強い男は、何人もの女性を持つことができ、ハンは500人もの妻を持ったと言われている。
そのエネルギー源が羊肉“マトン”だった。マトンとは生後20カ月以上の羊のことだが、このマトンのユッケは強壮効果がすごい。試す価値はあると言うのが、秋好氏だ。
「マトンの生肉を包丁で叩いてミンチ状にし、ニンニクを加える。細かく刻んでもおろしてもいい。これに塩、コショウで味付けして食べるんです。とにかく即効性があります」
続いて、健康食材として優れるカキは伊達政宗の章でも登場したが、ドイツ帝国のビスマルクも大好物だった。美食家だった“鉄血宰相”には、〈朝食には卵16個を、昼食にはキャビアと燻製うなぎを、夕食には生ガキを175個も食べた〉という記録が残っている。結果、64歳時に体重124キロを超えていたというが、カキ食の効果か、19世紀という時代に83歳という長寿を得ている。
一方、芸術の世界で健康長寿者といえばパブロ・ピカソだろう。ピカソは92年の生涯におよそ1万3500点の油絵と素描、10万点の版画、3万4000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作し、〈最も多作な美術家である〉と「ギネスブック」に記されている。
世界中の美術館を自分の絵で埋めるという野望を持っていたピカソの熱情は女性に対しても向けられた。正式な妻以外に多くの愛人を作っている。
そのピカソの栄養源はニンニクだった。そして特に好んだのが“闘牛場で殺された暴れ牛の睾丸のニンニク炒め”だったという。
やはりニンニクは古今東西、健康長寿には欠かせない食材の一つだったようで、フランス・ブルボン王朝の始祖として知られるアンリ4世の健康食もニンニクだった。そのせいか、アンリ4世の愛妾は、公式に発表されただけでも56人はいる。
性豪といえば、イギリス・プランタジネット王朝の始祖ヘンリー2世も負けてはいない。自他ともに認めるイギリス王室性豪ナンバーワンで、その一端は映画「冬のライオン」でもうかがえる。
そんな彼はシナモンをベースにしたイポクラスという“媚薬”を愛用していたが、精力のもとになったのは好物の身欠きニシンだったという。
「ニシンには脂質が多く、カルシウム、鉄、ビタミンが多く、若返りの効果があります。また精力の源となる亜鉛の含有量が群を抜き、レバーの10~20倍にもなるんです」(川田氏)
確かにヨーロッパでは「ニシンのたくさん獲れる町では医者が少ない」ということわざがあるほどだ。
どこでも、身近な食材に健康のもとがあるようである。