健康志向の高まりも相まって、黒にんにくがブームになっている。スイーツのような味で、にんにくが苦手な女性に愛用者が増えているという。
黒にんにくブームに火がついたのは弘前大学の佐々木甚一教授(当時)の研究成果によるところが大きい。
“生より強い抗ガン作用”“体内の免疫活性化”“動物実験で証明”といったふうに、地元の新聞にも大きくとりあげられた。
佐々木元教授は、こう語っている。
「にんにくを熟成・発酵させることでできる黒にんにくには、生にんにくにわずかしか含まれないS-アリルシステイン、シクロアリイン、ピログルタミン酸などが豊富に含まれている。そして動物試験の結果、S-アリルシステインの抗ガン作用などが判明した」
にんにくは豊富に含まれている成分の働きで疲労回復や老化防止、生活習慣病の予防やストレス解消に効果のあることは知られている。しかし、生のにんにくの場合は、成分であるアリシンの殺菌力によって腸内のビフィズス菌などを殺してしまうので食べ過ぎると胃腸障害を起こすことがある。また臭いも気になる。しかし、黒にんにくは発酵することでアリシンがほとんどなくなり、食べ過ぎてしまっても胃腸障害が起こることがなくなる。臭いも消える。
さらに熟成することで驚異的な抗酸化力を持つようになるので大幅に健康作用が高まるのだ。
抵抗力を高め、老化を防ぐ。黒にんにくの驚くべき効果効能を佐々木元教授はこう言っている。
「ポリフェノールとアミノ酸の含有量が数倍以上増えるので疲労回復、風邪予防、精力アップ、生活習慣病予防、アレルギー改善、高血圧、動脈硬化の改善や生活習慣病の予防に適した食べ物で効果は高い」
特に抗ガン作用に注目が集まっているという。
さらに、にんにくが黒にんにくになると、にんにくの糖度も増し、ドライフルーツのような食感になるのも人気の秘密だ。熟成・発酵させる手間がかかるぶん、生のにんにくの倍ほどの価格になるが、デパートや大手のスーパーなどで手に入る。しかしもっと安価に入手したい方には手作りを進める。料理教室を開いている川田千恵管理栄養士がレシピを公開してくれた。
「炊飯器(臭いがついてしまうため専用のものを用意)の底に上げ底をするためにすのこや竹籠など、サイズの合うものを用意します。その上ににんにくを並べ、キッチンペーパーかガーゼなどで覆い(水分のムラを少なく)スイッチを入れ保温に。この状態に10~14日ほどしておくと、熟成の過程で徐々に黒くなり、最終的には真っ黒になって熟成が完了します」
作り方はいたって簡単なのだが、問題はにんにくが熟成する過程で出る強烈な臭い。対策は必要だ。
(谷川渓)