家康をはじめとし、歴代の徳川将軍は好色家ぞろいだったが、なんといっても最強の将軍は11代・家斉(1773~1841)だった。
家斉は歴代将軍中最長となる50年の長きにわたって将軍職にあったが、21人の妾がおり、奥女中の総数は900人というハーレムぶりが記録に残されている。1妻16側室との間に、次代の将軍・家慶を含め、男28人・女27人に上る55人(30人は夭逝)をもうけたのだから、“オットセイ将軍”の異名もうなずける。
家斉の乱行ぶりは、当時流行した黄表紙本などに大いに書かれた。恋川春町の「遺精先生夢枕」の中では、家斉と思われる人物が行為の前に『オットセイのさら味(たたきのようなものと思われる)』などを肴に酒を飲む様子が描写されている。
オットセイ将軍の強精食がオットセイというのはおもしろいが、事実、オットセイに含まれているオットセイアミノ酸(カロペプタイド)は効果抜群だという。
秋好氏が説明する。
「漢方では海狗腎(かいくじん)という、オットセイやアザラシの生殖器である陰茎(ペニス)、睾丸および輸精管を使用した強精・強壮薬があります。16世紀に中国の李時珍が著した『本草綱目』の中にも記載されている」
記録でも、1612年に、松前藩主が徳川家康に海狗腎を献上したとあり、家康の持薬に配合されていたというから、家斉がオットセイを食していてもおかしくはない。
一方、家斉の“絶倫精力”を支えた、とっておきの食というのが「白牛酪」と「ショウガ」だったと、永山氏は言う。
「白牛からとった乳で作ったので白牛酪と名付けられた。生乳に砂糖を加え、とろ火で煮詰め、できた黄金色の固形物を冷却したものです。バイアグラ顔負けの強精食。家斉は房州で飼育していた白牛を江戸城内に移して、この酪を生産させていました。さらには他の地域の物とは違うと、板橋宿のショウガを好んでいつも食していた」
酪には精子の原料のアルギニンが豊富に含まれており、またショウガの辛味成分のジンゲロイドはタンパク質の分解酵素を増やす働きがある。
「酪の主成分はタンパク質。これを強精に生かすためには、体内吸収を高める成分が必要となる。そのためにショウガは最も適している」(永山氏)
ショウガは新陳代謝を促進させることでも知られている。つまり、家斉の食事は最強の組み合わせだったのだ。ガリを食べながらショウガ酒を飲んだら家斉になれるかもしれない。
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◆徳川家斉が遺した「ショウガづくし」
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【即効強精ショウガ酒】
◎材料:新鮮なショウガ(適量)、焼酎(適量)
◎作り方:ショウガを洗い、よく拭いて水気を切ったら、35度以上の焼酎に漬けるだけ。3カ月くらいから飲めるが、つけ込む期間が長いほど味はまろやかになる。一緒に氷砂糖を入れて漬けると飲みやすい。
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【ショウガの甘酢漬け(通称ガリ)】
◎材料:新鮮なショウガ(適量)、酢1.5カップ、砂糖150g、塩少々
◎作り方:(1)鍋に酢、砂糖を入れて火にかけて煮溶かし、冷ましておく。(2)ショウガは皮を剥き、薄切りにする。そして塩を振ってザルに並べ、沸騰したお湯をかける。(3)ショウガの水気を切り、(1)の甘酢に漬ける。いつも汁が材料の上にあるようにしておく。作ってすぐ食べるのがよい。
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【ショウガの味噌漬け】
◎材料:新鮮なショウガ(適量)、味噌(適量)
◎作り方:洗って水気を切ったショウガを味噌に漬け込んでおくだけ。1週間くらいから食べられる。
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