石川遼がギャラリーをチラ見しながらツアーを戦っていた。目下、男子ゴルフの今季国内メジャー初戦、日本選手権(5月10日開幕)に出場中だが、チラ見の理由は先の中日クラウンズにあった。こちらはY・E・ヤン(ヤン・ヨンウン)が逆転優勝し、石川は大会3日目から順位を落とし始めた。
「ツアーが終盤になるつれ、順位を落としていく傾向にあります」(専門誌記者)
ギャラリーのファンもその傾向を知っていたのだろう。首位と3打差の5位タイからスタートした3日目、一時は首位と一打差まで詰め寄ったが、17番ホールでのこと。8メートルのバーディパットを外した。高低差も少なく、確実に静められるはずだっただけに、石川はガックリと肩を落とした。さらに返しの1.5メートルもしくじり、ギャラリーからもため息が漏れた。そのため息に混じって、「ヘタクソ!」の痛烈な野次が飛ばされたのだ。
「石川は笑っていました。怒りを抑えたのかもしれませんが、その笑顔がまた反感を買ってしまい…。17、18番と連続ボギーとなり、順位も落としました」(前出・専門誌記者)
終了後、石川は記者団にも「父にヘタクソと言われながら育っていますし。ギャラリーの方が楽しく見られるのがいいので、そういう声はバンバンあっていいと思います」と笑っていたが、本心は違う。
「日本ゴルフツアー選手会長に選ばれましたからね。昨季は米ツアーで散々な成績でしたが、石川の知名度で国内ツアーの協賛企業を食い止めており、ギャラリーの数も昨季よりは増えています」(関係者)
自身の背負う責任を考え、オトナの対応に徹したようだ。その態度は立派だが、「ヘタクソ」の野次を見返すにはもうしばらく時間がかかりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)