一方、麻原の遺骨の受け取りについて、スタンスを明確にしていないのは、オウムの後継団体であるアレフである。さる公安関係者によれば、
「麻原と同日に死刑を執行された6人の幹部のうち、地下鉄サリン事件でサリン生成にも関与した遠藤誠一元死刑囚は、最後までオウムへの帰依を崩さずに、執行後は、アレフの足立区内の施設に遺骨が渡された。それ以外の5人の幹部の遺骨は親族に引き渡されたことからも、アレフが麻原の教えを堅持しているのは明らかで、潜在的に殺人を容認するような教えを内在していることに何ら変わりはない。一部ではアレフには昔のような武装化する可能性はないと指摘されていますが、麻原崇拝や説法がいまだになされているだけに、いつ過激化しても不思議ではない。今後は教団内で麻原の神格化がますます進むことになり、後追いで自ら命を絶つことなども懸念される」
実際、すでに教団内では、麻原の肉声テープを信者に配布したり、麻原のイラストを用いたテキストなども公然と使われるなど、教祖・麻原への帰依は以前より明確になっているという。
「アレフは現在、在家と出家を含め、約1500名の信者がいるとされていますが、麻原に対する帰依度という点では、入信時期によって、かなりバラつきがある。オウム真理教からアレフまで一貫して入信している信者の多くで、主戦論を唱えるような人物は皆無と言っていい。むしろ『2世信者』と言われる、アレフに改称後に入信した信者のほうが、より麻原の教えに感化され過激化している傾向があります。しかも現在のアレフは、本部と地方の支部との関係が並列的で一枚岩ではない。一部の支部には今後、後継者問題で再分裂する可能性があると見られていて、内部分裂によるトラブルの可能性も指摘されている。その動向を注視する必要があります」(公安関係者)
その実、当局は教団の武装化もさることながら、分裂による内部対立も危険視しているというのだ。