こうして教祖の死後も、オウムとアレフの残滓は存在し続けているが、
「熱狂的信者は、亡くなった教祖の骨を食べたいと思っているのです」
と衝撃の事情を明かすのは、アレフの内情を知る関係者である。
「荼毘に付された麻原の骨は、教団内に置かれる可能性があります。骨を食べるのはなぜなのか。今、信者に必要なのは、麻原=神と一体化することです。死刑が執行されてしまったことで、現実的に教祖の生の声を聞くことはできなくなり、触れ合えなくなった。では一体化のためにはどうすべきか。残されたものを自分の細胞の中に取り込むのです。それが麻原の骨を食べるという行為であり、亡き教祖と触れ合うことが、骨と触れ合うことにスリ替わる。これによって、かつてのオウムが復活する可能性があります。つまり、一体化することで麻原が復活し、降臨するということです」
ただし、当然ながら、全ての熱狂的信者が骨と触れ合えるわけではない。この関係者が続ける。
「オウム、アレフの教義的には、ある程度、修行を積んだ信者に許されることになる。かつてオウムでは、何年かの修行を経た人物のみが麻原と話ができました。それと同じです」
ただし、神格化された麻原死刑囚と一体化するには「イベント」の必要性に迫られる。教祖復活の時期をいつにするのか、それを誰が決めるのか、が問題なのだ。
別のアレフ関係者は、次のように話す。
「キリスト教では、イエス・キリストが十字架にかけられてから三日後に復活したことを祝うイースター(復活祭)がある。『これで再び人類が救われる』というものです。翻ってアレフでは、わかりやすいのが、社会的な事件や大災害が起きた時。それにかこつけるのが、最も信者たちが信じやすい好機となる」
一部では「麻原の骨を細分して、1袋数万円で信者に売るかもしれない」との指摘まで出ているが、オウムが復活するとなれば、また犯罪集団化の危険性も浮上する。島田氏は言う。
「オウムの一連の犯罪は、宗教ゆえというより、組織犯罪と言うべきではないか。もともとオウムはヨガを中心としていた団体で、妄信するような信者もいなかった。そのオウムが犯罪に手を染めたきっかけは、信者の死を隠蔽したこと。そこからさらに疑惑を隠蔽するように、犯罪を重ねていきました。こうした面を見ても、典型的な犯罪組織と言えます」
今後、残る6人の元オウム幹部死刑囚も早期の執行が予想されるだけに、まだまだ予断を許さない状況だ。
地下鉄サリン、松本サリン、坂本弁護士一家殺害、信者リンチ殺人、公証人役場事務長拉致監禁致死、東京都庁小包爆弾‥‥オウム復活と聞けば、あの悪夢が再び脳裏をかすめる。いや、そんなことを許してはならないのだ。