密交渉の全貌クライマックス・シリーズ滑り込みを賭け、セ・パ両リーグで最後の追い込みが繰り広げられる中、来季の指揮官の座を狙う面々と各球団による「グラウンド外の頭脳戦」が激化している。今年のストーブリーグの目玉はなんと、あの球界屈指の超大物。隠密裏に展開される水面下の交渉とは──。
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「俺は一軍監督以外やらん」
ストーブリーグの足音が聞こえつつある9月5日、スポーツ紙ではこんな記事が報じられた。
〈ナベQに続投要請〉
昨年は優勝マジックを4まで減らしながら、まさかの大失速でV逸。さらに2年契約最終年の今年は、長らく最下位争いを演じる転落ぶりで、西武・渡辺久信監督(46)の首は寒くなる一方との見方が強かった。だが、この記事によると、主力の相次ぐ故障離脱や外国人の不振などが低迷の原因であるとして、球団は来季の続投を要請する方向で調整を進めている、ということだった。これに対し、
「いや、渡辺監督は球団に不信感を持っていますよ」
と反論するのは、遊軍記者である。
「盟友であり、最も信頼していたデーブ大久保前打撃コーチ(44)が、菊池雄星( 20 )への暴行問題で解雇され、裁判ざたにまでなった件です。渡辺監督は球団の強引な手法に不満を抱き、嫌気がさしている。今もわだかまりは消えていません。もし続投要請があったとしても、成績不振の責任を理由に、固辞する可能性は大です。何しろ、『こうなったら、どうにか3位に滑り込んでCSを突破し、日本一になって辞表を叩きつけてやる』というのが本音ですからね」
そうした「反撃」に備えてか、球団は後釜探しにも着手。
「候補者として、昨年まで投手コーチを務め、現在はフロント入りしている潮崎哲也氏(42)、西武OBの中日・辻発彦総合コーチ(52)、そして過去に7年間指揮を執った野球解説者・東尾修氏(61)がリストアップされています。さらに、もう一人の目玉候補がいる。それが、あの清原和博氏(44)です」(球団関係者)
西武黄金時代の4番として、名声をほしいままにした大スターが、ついに現場復帰へ─。
球界屈指の人気を誇った大物の名前があがるのは、実は今回が初めてではない。清原氏が08 年にオリックスで現役を引退後、西武はひそかに「打診」をしたことがあったという。スポーツ紙デスクが明かす。
「ヘッドコーチ、打撃コーチ、二軍監督の3パターンを提示し、オファーを出したようです。ところが清原氏は断った。『俺は一軍監督以外やらん』というのが理由だったと‥‥」
さすが超大物らしい、風格十分の対応、と言うべきか。