ところが、ここにきてにわかに変心。いったい何があったのか。
「タカさんが注目しているのは、吉本の番組制作能力。有名どころでは、又吉直樹原作の『火花』を真っ先に映像化したのはテレビ局ではなく、ネットフリックスという映像配信会社だった。それどころか、最近では、映像配信でブッチギリの視聴者数を誇るアマゾンの『プライム・ビデオ』で吉本芸人が出演する番組を次々と制作。そのスケールもかつての民放のゴールデンタイムをしのぐような予算をかけているそうですから、タカさんがこの市場に参入したいと思うのは当然でしょうね」(放送作家)
中でも「プライム・ビデオ」の起爆剤となったのが、ダウンタウンの松本人志プレゼンツでテレビCMでも放送された「ドキュメンタル」だ。放送作家がさらに言う。
「これまで5シーズン配信され、シーズン1は視聴記録を更新したと話題になったほど。これに限らず、タカさんが本格的にアマゾンに参入するとなると、松ちゃんクラスの大型の企画が実現すると踏んでいるようです。肝心の制作面でも、吉本を介して制作すれば、多くの芸人やスタッフを調達することが可能。ましてや紳助も引退したことで、タカさん自身も関西芸人アレルギーがだいぶなくなったと聞いています」
さらに、ここにきて石橋をリスペクトする吉本の後輩芸人が「とんねるず芸人」よろしく、次々と現れていることも、スタンスが変わった大きな理由だと、先の放送作家が打ち明けるのだ。
「番組で共演した千鳥にしても、以前から大ファンを標榜するナインティナインや極楽とんぼの加藤浩次のキレ芸も、タカさんの影響下にある。実際、30~40代の関西芸人のほとんどは、とんねるずの笑いの洗礼を受けていて、飲み会でも『ずいぶん詳しいなあ』と後輩のとんねるずトークに耳を傾けている」
もはや背に腹は代えられない石橋にとって、ネット配信向けの番組制作こそ、お笑い芸人としての起死回生策と言えよう。
「ライバルのネットフリックスもアメリカのスタンダップコメディアンの番組を多数制作するなど、予算は潤沢。ただ制作プロセスがなかなかわかりにくく、そのことが芸人サイドからの参入障壁を高くしているのが唯一のネックです。ところがアマゾンにもネットフリックスにもルートのある吉本ならば、というのが、タカさん側の本音でしょう」(古参のお笑い関係者)
かつての仇敵・吉本とタッグを組んでも“笑いの栄光”にすがりつく石橋。その前途は不安が募るばかりなのだ。