日本一の巨大組織「吉本興業」をはじめとした関西勢の東京侵攻がやまない。この事態をおもしろく思わないのは東の武闘派だ。昨今、西の元親分相手に牽制を繰り返してきた若頭が、ついに親分を後ろ盾に反攻を開始。お笑い界に今、「純」も「愛」もない“リアル”アウトレイジ戦争が勃発した!
「最近はチャンネルを回せば、どこもかしこも関西芸人ばかり」
業界内からこんなボヤキの声が聞こえてくるが、近年のお笑い界は「西高東低」の状態が続いている。
東京の「シマ」は荒され放題だったが、東西ヤクザの抗争を描いた北野映画「アウトレイジ ビヨンド」(ワーナーブラザース映画/オフィス北野)よろしく、なんと東京芸人が全面戦争を仕掛けるべく立ち上がったようだ。
東京の「若頭」とも言うべき石橋貴明(51)が「大物組長」のビートたけし(65)と「盃」を交わし強力タッグを結成。10月21日より、日曜日20時の枠で「日曜のゴールデンで何やってんだテレビ」(TBS系)をスタートさせたのである。
同枠の裏番組といえば、言わずと知れた関西の雄・ダウンタウンが司会を務める「爆笑 大日本アカン警察」(フジテレビ系)であり、いきなり頂上決戦の様相を呈している。
「第1回の放送では、たけしさんと石橋さんが番組表を見ながら、裏番組について語るシーンがあった。激しい“口撃”はなかったようですが、明らかに“西”を意識していますね」(TBS関係者)
そもそも企画自体、TBS主導で隠密に2人を口説いて実現したのではなく、たけしと石橋が「一緒にやったらおもしろい!」と意気投合してスタートしたという。それだけに2人のモチベーションは高く、“対関西”という意識もおのずと強くなっているようだ。
中でも、血気盛んな若頭は、今にも斬り込みそうな勢いなのだという。
「石橋さんは企画段階から『関西の芸人は使わない!』といきまいている。たけしさんも『そうだな』と同調していますが、石橋さんの場合は、以前から関東の若手芸人を集めては『関東で頑張っていこう!』と士気を高めていたほど、関西芸人を煙たがってきましたからね。関東芸人の躍進のためには労を惜しまず、一時期は距離があるとされた爆笑問題とも、今ではきっちり友好関係を築いているようです」(前出・TBS関係者)
そこへきて、たけしの力を得たのだから、アドレナリンが出まくるのも当然か。「石橋は若手時代のブレイク前、尊敬するたけしの野球チームに参加していたことがあり、たけしの下に付くのは初めてではない。今回も『たけしさんのためならば外ロケでも何でもやる!』とかなり気合いが入っているようです」(芸能プロ関係者)
ところで、昨年放送された「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジ系)では、たけしが石橋の誕生日企画にVTR出演し、「後継者に」などとリップサービスすることもあった。2人の関係がここまで強固になった遠因として、昨年芸能界を引退した紳助親分こと島田紳助(56)の存在が注目されているのだ。
「紳助が09年の『オールスター感謝祭』(TBS系)で東京03を生放送中に恫喝した際、真っ先に批判の声を上げたのがたけしと石橋でした。石橋にいたっては、東京03をわざわざ自分の番組に呼んで『挨拶しろや!』とイジるなど、完全に紳助をおちょくっていました」(芸能記者)
所属事務所は異なっても、東の「舎弟」をイビる西の親分に対しては、共通の不快感を覚えたのだろう。
石橋は恫喝事件以降、「自分の中ではセーフだと思っていたんですが」や「感動するやん!」といった、紳助語録を再三にわたってネタにして敵意を剥き出しにしてきた。これに激怒した紳助本人から、「石橋か? 紳助や。ワレ、ワシのマネしていい気になっとるらしいな! いいかげんにせーよ」
と携帯電話にがなり立てる直電があり、すでに抗争が勃発しかけたことは本誌8月16・23日合併号でも報じている。
こうした因縁の清算か、石橋の「関西壊滅作戦」には続きがあるという。
「新番組を放送するのはTBSです。石橋は番組の成功を足がかりに、紳助へのアンチテーゼとして、たけしと一緒に来年の『オールスター感謝祭』を仕切り、恫喝事件のパロディをやるとの話が浮上している。その時にはもちろん、西の若手芸人を“標的”とするのでしょう」(前出・芸能プロ関係者)
野望や裏切りが渦巻く本編「アウトレイジ」にも負けず劣らず、お笑い界の東西抗争も、ますます激化の一途をたどりそうだ。