「東に石橋あり」とその名をとどろかせてきた「とんねるず」の石橋貴明が、その落日を迎えようとしている。かつては吉本興業を中心とする関西芸人を敵視していたものの、もはや“ご威光”をなくした今では、仇敵にも必死でヨイショする始末なのだ。
フジテレビ系で放送していた「とんねるずのみなさんのおかげでした」終了から半年余り。現在、唯一の冠番組として「石橋貴明のたいむとんねる」(以下「たいむとんねる」)が放送されているものの、視聴率も3%台に低迷している石橋貴明(56)。かつて視聴率男だった栄光ぶりは、もう微塵も感じられない。放送作家によれば、
「9月10日放送の『たいむとんねる』では、ゲスト出演した後輩芸人の千鳥のノブが『お笑い番組をやりましょう』と切り出したものの、タカさんは『俺はやりたいんだけどねぇ‥‥』と言って、口を濁してしまった。続けて『でももうあれでしょ。自分らでやれるでしょう?』と力ない言葉が出てしまった。これまで素人いじりで強気の発言がタカさんの持ち味でしたが、イケイケ時代の全盛期のとんねるずとはほど遠い発言でしたね」
だが、石橋自身は水面下で新たなる冠番組の制作に向けて虎視眈々と営業活動を始めているという。放送作家が続ける。
「とにかく、取材や打ち合わせで会う番組のスタッフや編集者などに対して『とにかく暇なのよ。何か仕事ない?』と自虐的なギャグを飛ばしているんです。なにしろ相手は超大物タレントですからネタだと思って苦笑していますが、タカさん本人はいたって本気。しかも、これまではまったく相手にしなかった吉本の後輩芸人に対しても『仕事紹介してよ』と泣きついているほどです」
実際、先に挙げた「たいむとんねる」でも、千鳥の大悟が石橋と初共演後に六本木で酒席を共にしたエピソードを披露。大悟が「わしらの吉本の先輩でシャンパン飲む人おらんじゃん。芸人がシャンパン飲んでいるから『東京やなぁ~』って思って」と盛り上げたかと思えば、「刺し盛りも豪華で、日本中の魚がおった」と、そのリッチぶりについても先輩芸人と比較。そのうえで大悟は「まじめにお笑いの話ができた」と舞台裏を明かすのだった。さるバラエティー番組スタッフが明かす。
「当然、後輩芸人との話の中心はお笑いやバラエティーについてがほとんど。タカさんは、民放の地上波がコンプライアンスや放送コードの問題でなかなか新規の番組が難しいと考えています。そこでBSやCS放送、インターネットテレビに活路を見いだしているんです。8月にAbemaTVに初登場して4時間の特別番組を制作したのも、その流れの一環ですよ」
さらには御多分に漏れず、ひな壇芸人が人畜無害の発言に終始する地上波バラエティーでは、石橋にもう生き残れる余地はない。“仇敵”への土下座外交も辞さない構えで就活に懸命なのだ。