路地裏で出会った極上和牛もつ串煮込み 下町人情と女将さんの愛情たっぷり憩い場
いまや一大「もんじゃタウン」となり、外国人観光客も多数訪れる月島の街も、一歩横道に入れば、昔ながらの下町的風景がいたるところに残っている。そんな細かい路地に面して、数席のカウンターといくつかの即席テーブルのみで営業する「げんき」こそ、地域に密着した大衆酒場の名店だといえよう。
名物は小さな厨房でひときわ存在感を発揮する大鍋で煮込まれる、国産和牛もつ串の煮込み。誰もが頼むのが、モツ、フワ、ナンコツの3本に煮たまごと豆腐が入った「バージョン」と呼ばれるセットだ。とろけるような身が上質な脂の甘みをまとったモツ、ふわりとした食感に旨味をたたえたフワ、コリコリとした食感が楽しいナンコツと、どれも驚くべきうまさ。常連客によればその秘訣は、このお店の母屋が女将さんの持ち家であり、半分ボランティアの精神で街の住人のために営業しているからだそう。どう考えても儲け度外視な「缶ビール・缶チューハイ類2本まで持ち込み自由」のルールも、そんな経緯を聞けばなるほどと納得できる。
日々、築地市場と芝浦の食肉市場から仕入れ、丹精込めて煮込みを作ること20年以上。下町の本物の粋と人情が息づいた店は、今日も路地裏でひっそりと営業中だ。
■牛もつ げんき
住所:東京都中央区月島3-8-6 電話:03-3531-5900 営業時間:15:30~18:30 定休日:日・祝