東京“三大煮込み”に旬のつまみで心ゆるむ フレンチやワインで飽きさせない老舗名店
森下駅の交差点のそば。大正14年創業の四代続く下町系居酒屋の有名店。一族ぐるみで通う地元民から、評判の酒場グルメを味わいに遠方から来た客たちでいつも混み合う。10年前にビルへと改装、隣同士がそでを擦り合うような大衆酒場の雰囲気はなくなったものの、広めのカウンターはほどよい落ち着き感。目の前には東京“三大煮込み”といわれるほど人気のもつ煮込みの大鍋がグツグツと湯気を立てている。朝9時から火を入れ、13時には1回止めてモツに味を染み込ませるのがおいしさのコツ。
八丁味噌とザラメのふくよかな甘みが馴染んだ継ぎ足しのタレに新鮮なモツのシロの脂が溶け込んで、大ぶりのモツを噛むごとにまろやかな旨味が口中にひろがる。カリカリのガーリックトーストに乗せて食べるのがこの店流だが、お供には赤ワインが人気。フレンチの道に進んでいた三代目が考案した「豚肉と鶏レバーのテリーヌ」とも相性ぴったりだ。
モツ以外の野菜や魚メニューは1~2か月で品ぞろえが代わり、旬の味を楽しめる。「常連さんほど“煮込み”を食べなくなるんです」と笑う四代目店長。「飽きられずにいつまでもちょこっと寄ってくれる店でいたいですね」という言葉に、愛され続ける居酒屋の矜持を感じた。
■山利喜 本館
住所:東京都江東区森下2-18-8 電話:03-3633-1638 営業時間:17:00~LO22:00 定休日:日・祝