通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの前澤友作社長が10月4日、自らの納税額を明らかにした。同日にツイッターで「2016年度77億円、2017年度34億円、2018年度70億円(予定)」と明かしたもの。所得税と住民税の合計は最大で55%程度のため、本年度の所得額は単純計算で127億円あまりに達することになる。
このツイートを巡り世間からは「所得隠しをしないなんてカッコいい」とポジティブな評価と、「金持ちをひけらかしている」というネガティブな声の両方が噴出。一部のメディアでは、税務調査に対してクリーンさを示すのが狙いだと報じている。だが、前澤氏の真の狙いはむしろ海外に対するアピールだと、週刊誌の記者が指摘する。
「美術品の収集家としても知られる前澤氏は昨年5月、ジャン=ミシェル・バスキアの『Untitled』という絵画をアメリカ人アーティストの作品として史上最高額の約123億円で落札。世界の美術界に《MAEZAWA》の名前を知らしめました。そして先月には米スペースXが計画する月周遊旅行の第一号顧客に名乗りをあげ、その際には日本のビリオネア(億万長者)として海外メディアに取り上げられています。しかし欧米では資産家が個人資産をメセナ活動(文化芸術の支援)に費やすのが一般的なのに対し、日本の資産家は欧米から見れば正体不明で、怪しげなカネにものを言わせて美術品を買い漁っているように見えてしまうのも事実。そこで前澤氏は事業活動を通じて正当に稼いだ金を、美術品の収集に費やしているとアピールしたいのではないでしょうか」
そして前澤氏には日本人の美術品収集家として、みずからの正当性をより強くアピールしておかなければならない理由があるという。1990年に欧米の美術界を揺るがせた事件について、週刊誌記者が続ける。
「この年、大昭和製紙相談役(当時)の齊藤了英氏がゴッホの『医師ガシェの肖像』とルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』を合計244億円で落札。その際に齊藤氏は『死んだら棺桶に入れてもらうつもりだ』と言い放ち、世界中の美術界から猛反発を食らいました。そのため今でも日本人が美術品を高額で落札をすると、この棺桶発言が蒸し返されるのだとか。そんな状況を憂う前澤氏がみずから美術品収集家として第一線で活躍し続けることで、日本人に対するイメージを回復させようとしているのかもしれません」
前澤氏が何よりも得たいのは、海外美術界からの信頼なのかもしれない。
(白根麻子)