お笑いコンビ・オードリーの若林正恭の著書「ナナメの夕暮れ」がバカ売れしている。
1296円の単行本ながら発売2週間で10万部を売り上げる売れっ子作家並みのモテっぷり。重版に次ぐ重版で笑いが止まらない状態だという。
「そもそも雑誌に連載したエッセーに書き下ろしを加えた本。一度は世に出ているわけだから、そんなに売れると思わないじゃないですか。それが売れたから、もうびっくりですよ。南海キャンディーズ・山里亮太の本『天才はあきらめた』が10万部突破といっても、あちらは文庫本ですから。売上高も違えば、作者に入る実入りも桁違いですよ。若林は本作の前編にあたる『社会人大学人見知り学部 卒業見込』で作家デビュー。2作目のエッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』で斎藤茂太賞を受賞するなど、今や押しも押されもせぬ“大作家先生”です」(スポーツ紙記者)
売れた理由は何か。ひとえにそれは「共感力」に尽きるのではないか。というのも、若林は物心ついたころから、自意識過剰な超人見知りを抱え、イライラの日々を過ごしていた。ひな壇芸人だった若手の頃は人見知りでも話を振ってもらい成立した仕事が、年齢を重ねてMCを任されるようになって激変。トークがうまく回せず、場がまったく盛り上がらなかったことに気づき、がく然としてしまう。「荒療治」と称して、自ら性格改造に挑戦した実話が秀逸だった。そんな若林の著書に、読者は生きづらい自分を持て余した若林に自分の姿を重ね、救いを求めるうちにどっぷり共感してしまうようなのだ。
「10月20日放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、若林みずからがその性格改造の方法を告白しました。それは、人見知りを克服するため、ガールズバーに通ったこと、客いじりの荒い女性たちにぶっつけ本番でトークを仕掛けたことでした。そして、相手を質問攻めにすれば、トークがどんどん回ることに気づき、『お笑いナタリーの記者』になったつもりで、インタビュアーよろしく話を続けていった。場を重ねて、強すぎる自意識が減り、警戒心や羞恥心が消え、カッコつけて斜に構える癖も次第に抜けていったそうだ」(芸能ライター)
これだけ好評にもかかわらず、次回作の予定は当分ないという。来年3月、「オードリーのオールナイトニッポン」放送10周年記念の日本武道館ライブを開催するため、もっかネタ作りにかかりきり。何とももったいない!?
(塩勢知央)