最近イギリスの専門誌が定期的にランニングすることでガン予防になると発表した。しかし、その一方で、激しい運動を習慣的に行っている人はガンになりやすいと警告を鳴らす医師もいる。いったいどっちが正しいのか。
まず、定期的な運動の効果を発表したのはイギリスの専門誌「British Journal of Cancer」。誌の研究によれば「もっともアクティブな人」(週に5、6時間早足で歩くくらい)は、「もっともアクティブではない人」(週に30分歩くくらい)と比べて大腸ガンになる可能性が24%低かったという。また女性では乳ガンになるリスクが30%低かったとも伝えている。つまり、定期的にランニングすることも、ガン予防になるといえそうだ。しかし佐藤玄徳内科クリニックの佐藤玄徳院長は、こう警告している。
「ランニング、テニスなどの激しいスポーツは、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の活性を低下させる恐れがあるといわれています。実際、2時間半のランニング後にNK細胞の活性が50~60%低下したという報告もされているんですね」
“スポーツをしていれば健康的で、ガンや病気になる可能性は低い”というのはイメージ先行の誤った思い込みだとも──。では、激しい運動は害になるのか。
ここで、アメリカでの研究成果に目を向けると、ハーバード大学の研究を見では「週3時間以上のウォーキング」をしている人たちのガン再発・転移、死亡のリスクはそうでない人より57%も下がっていたという。そして、アイオワ州立大学のダック-チャル リー助教(運動生理学)ら研究チームの調査によれば、毎日5~10分程度の短時間のランニングや、時速10km程度のゆっくりとしたランニングで、心臓疾患や死亡のリスクを3~5割軽減することができたというのだ。
確かに前出の「British Journal of Cancer」誌の研究でも“早足で歩くくらい”が、ガン予防になるとのことである。
大切なのは、その人に合った運動。過度な運動は避け、ソフトなランニングやウォーキングを続けること。これが大きな健康効果を生み出すようだ。
(谷川渓)