五輪3連覇や国民栄誉賞受賞といった偉業を達成してきた女子レスリング界の巨人・吉田沙保里選手が1月8日、自身のインスタグラムにて引退を表明した。吉田はこれまで世界大会で獲得してきた17個のメダルを並べた写真を投稿し、〈この度、33年間のレスリング選手生活に区切りをつけることを決断いたしました〉と報告。〈みなさん、本当にありがとうございました〉と感謝の気持ちを綴っている。
その吉田は16年のリオデジャネイロ五輪決勝で敗れ、銀メダルに終わった後に競技から離れるも、進退については明言していなかった。そして東京五輪が来年に迫る中、今回の発表に至ったわけだが、この決断についてスポーツ系ライターがこんな見立てを明らかにする。
「吉田自身は1カ月以上前の時点ですでに、引退を決断していたはずです。それを年明けまで先延ばしにしたのは、ひとつには東京五輪の予選第一ラウンドと位置付けられる『全日本レスリング選手権』(12月20~23日)への影響を避けたこと。そしてもう一つは、大みそかに放送された『よゐこ無人島2泊3日0円生活6時間半SP』(テレビ朝日系)に出演しており、その放送が終わるまでは波風を立てたくなかったからでしょう。タレントとしての才能にも恵まれている吉田ゆえ、テレビ業界に筋を通したかったのも当然かもしれません」
ただこれらの根拠では、発表が年明けになった理由としては理解できるが、引退の決断が昨年中だったとは言い切れないのではないだろうか?
「何より『よゐこ無人島2泊3日』に出演したこと自体が、競技を離れて引退することを決断した証拠です。この番組で無人島に滞在した吉田は、足場の悪い岩場を歩きまわったり、腰まで浸かる波の中、食材を探すといったサバイバルに挑んでいました。これらのシーンでは一歩間違えれば転倒して大ケガする恐れもあり、現役続行を望むアスリートなら絶対に避けるべき危険なロケだったのは明らか。そんなロケに五輪予選を半年以内に控えた時期に参加したということは、もはや東京五輪に出るつもりがなく、すなわち現役を引退する気だったのは明らかでしょう」(前出・スポーツ系ライター)
同番組の制作発表記者会見は去る12月10日に行われており、ロケはそれ以前に実施されている。そして出演オファーはさらに早い時期だったことから、夏過ぎにも引退に心が傾いていたと見てもよさそうだ。見方を変えればその決心をここまで隠し通したポーカーフェイスぶりも、超一流アスリートならでは、だったのかもしれない。
(金田麻有)