たとえメダル獲得ならずとも、「五輪出場」「日本代表」の肩書は大きい。人気選手ならばその客寄せ効果は絶大だ。スノーボード界を席捲したアスリートが「オーナー」として開業したカフェも一時は話題を集めたが、今は閑古鳥が鳴くありさまだという。その背景に見え隠れする暴力支配の実態を告発する。
「この界隈じゃ有名ですよ。スタッフたちが店の前に立たされて、男がずっと説教しているんです。『なんでできないんだ!』とか大声を出して、そのうち暴力を振るい始めるんです。見かねた人が110番通報して、パトカーが来たこともありますよ。今年4月のことです」
近隣住民が眉をひそめる暴行の舞台となったのは、東京・台東区にある飲食店。その名も「成田童夢の店 和馬’s Cafe 東京浅草店」。店名に冠された成田童夢(33)の名をご記憶の読者も多いはずだ。06年のトリノ五輪にスノーボードハーフパイプ日本代表として出場した元アスリート。五輪出場を前にして、
「デカい花火を打ち上げたい」
といったビッグマウスが話題を集めたが、結果は予選敗退。その後は大きな国際大会に出場することなく、11年にプロ引退とタレント転身を表明。キレのあるオタ芸を披露するなど、声優、俳優、DJとして活動の幅を広げてきた。
そんなオリンピアンに「カフェオーナー」という肩書が加わったのは昨年秋のこと。
「開店の日には、平昌パラリンピックスノーボードで金メダルを獲った弟の緑夢(ぐりむ)(25)が花を出していました」(スポーツ紙記者)
オープンを報じた昨年10月29日付の「日刊スポーツ」は同店について、
〈テーマは「癒やし」と、店内は白を基調とした落ち着いた雰囲気〉
と紹介し、以下のような成田のコメントを掲載している。
「衣食住のうち人を笑顔にできるのは食。笑顔の輪を広げていきたいと思った」
だが、開店から半年以上がたって、店の周囲からはまるで「癒やし」とも「笑顔」ともかけ離れたエピソードが漏れ伝わってくる。別の近隣住民が証言する。
「店を仕切っている男性が、40代くらいの従業員の髪をつかんで平手打ちしていたこともあります。そんな怖い人がいる店に行けますか? お客さんがたくさん入っているのを見たことがない」
その後の取材によって、暴力を振るっていたのは、現場責任者で店名にもある「和馬」ことF氏であることが明らかになった。