4月から5月にかけて発症する人が多いと思われている「うつ病」。実際は梅雨時が最も「うつ病」になりやすいという。
雨や曇りの日が続き、日照時間も減ることに加え、気圧、温度、湿度の変化も激しいため、精神的にも肉体的にも負担が多くなるからだ。
そもそも「うつ病」とは、脳内の神経伝達物質の働きが弱くなり、それによって憂うつな気分や、仕事の意欲や興味の低下を引き起こすもの。
うつの症状としては、眠れない、食欲不振、集中力や判断力の低下、動作が遅くなる、不安やイライラが多くなるばかりか、悪化すれば、仕事や勉強、人とのコミュニケーションが困難になり、日常生活にも支障を来してくる。
「うつ病」の引き金になりやすいのは、大切な人の死や人間関係のトラブル、仕事や家庭での役割の変化など、さまざまなストレス。また、責任感が強く、完璧主義、几帳面な性格の人に起こりやすく、遺伝的要因も考えられる。
治療法は、「休養」「薬物療法」「カウンセリング」が中心となってくる。まずは使いすぎてしまった脳をしっかり休ませるということが基本。そして、抗うつ薬による薬物療法で、脳の機能的不調を改善し、症状を軽減させる。これで、発症以前と同じ状態まで回復できる人は多いが、一時的によくなったからといって、薬を勝手にやめて逆戻りするケースも多いので、自己判断は禁物だ。
ちなみに、うつかどうかをセルフチェックできる、「簡易抑うつ症状尺度」という方法もある。精神科医のジョン・ラッシュ医師によって開発され、世界10カ国以上で使用されているものだ。16項目の自己記入式で、うつ病の重症度を評価でき、6点以上になった場合は「うつ病」になっている可能性があるので医師の診断が必要となる。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。