酒を飲みすぎると「尿酸値」が気になる人も多いだろう。数値が高いと「痛風」を発症するおそれがあるからだ。
そもそも尿酸とは「プリン体」という物質が体内で分解されてできる老廃物。「プリン体」は体内の新陳代謝の過程で作られるほか、食品からも摂取される。
痛風の発症リスクは、血液検査項目の「血清尿酸値」で確認できる。
正常な人の場合、尿酸は1日に約700mg作られ、同量が排泄されることで、体内の尿酸の濃度が一定量に保たれている。しかし、生活習慣の乱れなどで、血清尿酸値が7.0mg/dl以上(男女ともに)に増えてしまうと「高尿酸血症」と診断される。
「高尿酸血症」の状態が続くと、血液中に溶けきれなかった尿酸が結晶になって関節に沈着することで、痛風を引き起こすのだ。
痛風の発作は、足の親指の付け根やくるぶし、かかと、肘・膝の関節、手首や指の関節に激痛が走る。
痛風になりやすいのは20歳以上の男性で、プリン体の多い食品をよく食べる人や、清涼飲料水をよく飲み、水分をあまりとらず、肥満、ストレスを抱えている人などが多い。さらに、痛風が原因となって、腎不全や尿路結石、動脈硬化、心筋梗塞、高血圧などを発症するリスクが高まる。
痛風の予防には、体内の尿酸を増やさないことが大切。プリン体の多い食品(レバー、青魚の干物、アンコウ肝、エビ、カニ、貝類など)の摂取を控えることは大事ですが、実は、食品からの摂取量より、体内で産生されるプリン体の量のほうが圧倒的に多いのです。
尿酸の排泄を促すよう、水分を十分とって、アルコールはぐっと控えて。そして、ストレス解消や生活習慣を改善することでコントロールしてください。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。