「今年のパ・リーグは大型トレードなどで戦力図ががらりと変わり、去年の上位と下位に戦力の差はほとんどない」。こう語る西崎幸広氏は、パで巻き起こる下克上を予想した。
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昨年は西武との熾烈な優勝争いを制した日本ハムだが、西崎氏はAクラス入りを微妙だとしている。
「糸井と田中賢介がチームを抜けたのは大きいですよ。ともに3割バッターで、貴重な得点源だったんですから」
戦力ダウンで、昨シーズンのような打線は期待できないということだ。
「主力選手が抜けたといえば、西武もそうです。中島の穴はあまりにも大きい」
そんな上位2チームとは対照的に、西崎氏はオリックスの躍進を予測した。
「オリックスは糸井の他にも巨人から東野、ソフトバンクから馬原、阪神から平野と、トレードやFAで大幅な戦力補強に成功した。去年に比べて投打ともに選手の層は段違いに厚いですね」
昨シーズンは最下位と苦汁をなめたチームも選手層を見れば、今や日本ハムをしのぐ勢いで、堂々の2位予想。また、西崎氏は今年はオリックス以外にも、下位からの逆襲を果たすチームとして楽天をあげる。
「楽天は昨シーズンに球団新記録となる22セーブをあげた青山と、安定した投球を見せるラズナーがいて、抑えがしっかりしているので、打線がうまく機能すれば間違いなくAクラス入りでしょう」
その打線には、ジョーンズ、マギーというメジャーの大砲を獲得。田中を中心とした鉄壁の守りで、Bクラスから一転、優勝争いに臨むのだ。
パの混戦を予想したうえで、「それでもソフトバンクは頭一つ出るのではないでしょうか」とする西崎氏だが、あらためてこう付け加えた。
「今年は本当に順位をつけるのも困難なほどの混戦でしょう。ただ確実に言えるのは、去年の上位と下位がひっくり返るようなシーズンになるはずです」
一方のセは、やはり巨人の優勝で堅いようだ。
「阿部の膝の状態は気になりますが、坂本、宮國や澤村といった若手の選手層も厚いので、心配はいらないでしょう。若手とベテランがうまく融合していますね」
2位には、昨年5位に終わったダメ虎の汚名返上を予想する。
「メジャー組の福留、西岡がチームに加入することで、伊藤隼太、俊介、上本といった若手のポジション争いが激しくなり、おのずとチームの士気も上がるはずですからね」
そして西崎氏が「不気味なチーム」と語るのはヤクルトだ。予想は4位ながらも、それ以上の評価だ。
「ヤクルトはそれほどのスター選手がいなくとも、毎年のようにAクラス入りを果たしてしまう。今年も間違いなく上位争いをすると思います」
3位予想の中日も新エースの浅尾を右肩のケガで欠き、開幕に不安を残すなど、両リーグともに地殻変動を起こしそうなシーズンなのである。