この1カ月、参院選をも吹き飛ばす勢いで報じられてきた、吉本興業所属の芸人を中心とした闇営業問題。批判の矛先は、当初の宮迫博之と反社会的勢力との関わりの可能性から、吉本の岡本昭彦社長のグダグダ会見以降、闇営業に手を出さざるを得ない芸人の置かれている体質に向かっており、特に契約書のない雇用形態がクローズアップされ、様々な問題が指摘されるようになっている。
「公正取引委員会からも『独禁法上好ましくない』との見解が出され、吉本は今後、求めるタレントには書面での契約に応じていく考えがあることを発表しました」(芸能記者)
だが、これがどんな“契約書”になるのかが、芸人や業界関係の間でも大いに注目されている。
「おそらく、芸人たちが期待しているようなものにはならないでしょう。ギャラの配分がハッキリさせられると思っているかもしれませんが、5:5や6:4と一律で決まるわけでもなくケースバイケースで、せいぜい振込通知に明示されるようになる程度では。ましてや、ギャラアップにつながるようなことはないと思われます。また、それが社員としての正規雇用契約であるはずもなく、個人事業主としての所属契約になるでしょうから、福利厚生などとても望めないし、最低賃金が提示されることもない可能性が高い」(芸能プロ関係者)
つまり芸人にとっては、単にこれまで黙認されていた闇営業、直営業がやりづらくなるだけという結果になるということか。
「そんな現実を目のあたりにしても、“吉本”の看板力、ブランドをそう簡単に手放したくないという芸人の本音もあるし、辞めていく芸人はそういないでしょう。もちろん何人か出てくるかもしれませんが、それでも吉本側にとっては、不良在庫、不満分子が一掃できた、ぐらいの感覚では…」(前出・芸能プロ関係者)
世間に叩かれ、お上にも目をつけられ窮地に追い込まれているように見える吉本だが、その裏ではシビアに算盤を弾いているに違いないのである。
(露口正義)