永田町では「首相は解散と公定歩合はウソをついてもいい」と言われてきたが、消費税減税をめぐる石破茂首相の発言は、これにはあてはまらない。まさに「ウソつき減税」だ。
石破首相は4月1日の記者会見で、食料品を対象にした消費税減税の可能性について「消費税は全世代型の社会保障を支える重要な財源だ。税率の引き下げは適当ではない」と明確に否定していた。
石破首相だけでなく、自民党の森山裕幹事長も同様だ。野党が物価高対策の一環として消費税減税を求めていることについては否定的で、減税を主張するならば代替財源を示すべき、との考えを示した。
ところが石破首相本人に取材した政治ジャーナリストの青山和弘氏は、ネット報道番組「ABEMA的ニュースショー」で、
「物価高対策という意味もあって、軽減税率が今8%で、2%消費税よりは低いが、さらにこれを下げる。多分、いま念頭にあるのは5%くらいで、それくらいに下げることでどれくらい効果があるのかを実際に検討するし、石破総理本人もアリだということをはっきり言っている」
軽減税率は、2019年10月1日より消費税率が10%へ引き上げとなったことに伴い、生活に必須とされる食費や新聞代の一部にかかる消費税を8%に据え置きする制度。これを5%に下げることを検討しているというのだ。
さらに青山氏によると、石破首相は周辺に対して「政権を失うことを考えたら安いもんだ」という言い方をしているのだと。
伏線はある。石破首相は3月28日の参院予算委員会で立憲民主党の川田龍平参院議員から、食料品などに対する消費税減税の可能性を問われたのに対し「一概に否定するつもりはない」と述べていた。4月1日の記者会見ではまだ早すぎるとして否定したものの、7月の参院選前に打ち出すことを考えているのだという。
これが本当ならば、これほど国会を軽視し、有権者をバカにしたものはない。国会で野党に「責任ある立場での熟議」を呼び掛けているのは石破首相、その人であるにもかかわらずだ。
消費税減税をめぐる石破首相の動向は、後半国会の最大の焦点となりそうである。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)