スカパーやJ:COMで放送されているアイドル専門チャンネルの「Kawaiian TV」が、11月30日をもってサービスを終了すると発表し、ファンやアイドル関係者に衝撃を与えている。
14年12月に開局したKawaiian TVでは「NMB48」のレギュラー番組を多数放送していたほか、さまざまなアイドルグループの冠番組を放送。田村淳がMCを務める討論バラエティの「バラ売り」は、アイドルに政治や経済について生放送で討論させるという尖った内容が高く評価されていた。そういった番組がなくなることにファンは残念な思いを抱いているが、実はお笑い業界からも同局の終了に悲鳴があがっているというのだ。
「このKawaiian TVは吉本興業の子会社が運営しており、NMB48の運営などでアイドル分野にも進出した吉本の拡大戦略において重要な一角を担っていました。番組の収録は吉本東京本社内のスタジオに加え、公開収録ではなんばのYES THEATERや渋谷のヨシモト∞ホールといった吉本の劇場を活用。さらには番組制作の中核を吉本の作家や芸人が担っていたのです。そのためKawaiian TVの終了で多くの芸人たちが仕事を失うことになりますし、何より躍進のきっかけが失われることは若手や中堅の芸人にとっては痛手となることでしょう」(アイドル誌ライター)
Kawaiian TVでは前出の田村淳やケンドーコバヤシなどの大物芸人も出演する一方で、河本準一やダイアン、天津や天竺鼠といった中堅芸人も数多く登場。さらにはブレイク前のコロコロチキチキペッパーズなど、ここからステップアップしていった若手芸人も少なくなかった。
「まだ無名の存在だったコロチキは、新進気鋭のアイドルグループ『大阪☆春夏秋冬』の冠番組『カタヤブリ』で初代MCを務め、アイドルファンを中心に知名度を高めていきました。その後、キングオブコント2015にて優勝したことをきっかけに番組を卒業し、活躍の場を拡大。一方の大阪☆春夏秋冬もエイベックスからメジャーデビューを果たし、8月18日に大阪で開催された『a-nation』にも出演するなど、共演者同士で切磋琢磨しているのです。しかしKawaiian TVの終了で、アイドルと芸人がおたがいに刺激し合って成長していくという理想的な関係が崩れることに。今回のサービス終了はアイドル界にとってもお笑い界にとっても残念な出来事となりました」(前出・アイドル誌ライター)
吉本では制作から出演者までのすべてを自社で賄うことにより、できるだけコスト減を図ってきたはず。しかし一社のみでテレビチャンネルを運営し続けるのは、困難だという判断があったのかもしれない。
(金田麻有)