フジテレビ系で放送されている「監察医 朝顔」の評判がすこぶるいい。視聴率は常に2ケタを維持し、9月2日に行われた同局の10月改編記者発表では、「子供から大人まで家族で楽しめる月9ドラマを目指した結果」と“月9復権”をアピールしていた。
しかし、「確かに視聴率はいいのですが、よく見ると気になる点がある」とは、ドラマ制作会社関係者。
「『朝顔』は2部構成となっており、第5話までが前編。その前編は、初回に13.7%という高視聴率でスタートし、2話から5話まですべて12.3%と好調をキープしました。これには、万木朝顔役で主演の上野樹里の好演ぶりやストーリーへの共感が受け続けていたと考えられます。問題は第6話以降の後編で、その6話は14.4%と伸ばしている。これは“鉄板”とも言うべき視聴者にプラスして、予告や評判につられて見始めた人がいたのでしょう。2部構成にしたのも成功だったと言えます。しかし、それが7話では11.4%、8話10.2%とガタ落ちしている。これは、簡単に言えばつまらなくなってしまったからで、“鉄板”だった視聴者も離れてしまった可能性が高いのです」
前編は、大学の法医学教室に勤務する法医学者である朝顔と、その父親で刑事でもある万木平(時任三郎)、朝顔の恋人で新米刑事の桑原真也(風間俊介)が毎回起こる事件を解決していく内容。そこに、東日本大震災で行方不明となった朝顔の母親の話を絡ませている。
一方で後編は、朝顔と桑原が結婚し、子供も保育園に通うまでに成長。より家族色が強いものになった作りだ。
「家族色で言えば、前編には朝顔と父との母親を思う心模様などが描かれていましたが、あくまでメインは謎解き。それが、後編はあまりに子供中心のホームドラマっぽくなった感がある。漫画原作との兼ね合いもありますが、この要素が視聴者を少々飽きさせた可能性はありますね。つまり、フジの言っている“子供から大人まで楽しめる”という点で、必ずしも当てはまっているとは言えないわけです」(テレビ誌記者)
第8話の最後には、朝顔と同じく小さい子を持つ友人の死という、辛い展開が待っていた。最終回に向け、再び勢いを取り戻すことができるか。
(津田昌平)