「世論で決めたりはしない。球団の都合で決める」
中日ドラゴンズ・白井文吾オーナーが松坂大輔の去就についてこう語ったのは、9月17日だった。ただし、すでに加藤宏幸球団代表が松坂との直接会談を終えており、「日本球界にとって大事な選手」とこれまでの実績に敬意を評していたものの、“その場で、遠回しにクビを宣告されたのでは”というのが周囲の一致した見方だ。
松坂の去就は友人、知人も心配しているが、本人から出てくる言葉は、「まだ燃え尽きていない」の一点張りだという。どうやら松坂は先発ローテーションに復帰し、シーズンを通じてバリバリに投げ続けるところを目指しているようだ。
しかし、周辺関係者らが言葉を変えて「引退後はどうするつもりなのか?」と質問すると、なんと“(指導者を)やるんだったら高校野球の監督!”などと答えたという話がある。
プロアマの規定が緩和され、現在は教員免許を取得しなくても高校野球の指導者になれる。しかし、松坂の母校・横浜高校は、前監督の渡辺元智氏が見込んだ平田徹監督がすでに後継者として就いており、母校帰還は果たせないだろう。
「規定緩和はされましたが、高野連は“元プロ選手の指導者復帰を斡旋する”とは言っていません。雇用を決めるのは、あくまで各学校の経営者。相手がたとえ天下の松坂であっても、部活動の指導しかできない学校職員を増やす経営的余裕はありませんよ」(アマチュア野球記者)
「燃え尽きていない」発言も、見方を変えれば、ただのワガママ。高校野球の本筋は人間形成の教育であって、プロ野球選手の養成所ではない。もし高校野球の監督を夢見ているのが事実であれば、チャンスをくれた中日に恩返しをし、ソフトバンクにも詫びを入れるべきだと思うが…。
(スポーツライター・飯山満)