生きる情動と死の衝動が切り離せない関係であることからも、恐怖映画の妖艶な要素はもはや必然と言えるだろう。邦画ホラー・ミステリー作品に一層の深みと興奮を与えてくれた、名女優たちの「艶技」を、ここでふり返ってみよう。
まずは昭和13年に岡山で起きた「津山30人殺し事件」を題材にした名作「丑三つの村」(83年、松竹富士)。
映画評論家の秋本鉄次氏によれば、「村八分にされた若者(古尾谷雅人)が、復讐のために壮絶な大量殺人に向かいます。その伏線として」豪華な女優陣とのベッドシーンが展開されたというのだ。
当時まだ若手の田中美佐子(60)は、湯船で小ぶりな生の胸を見せる。そして五月みどり(80)と池波志乃(64)の“妖艶2大熟女”が濃厚なカラミを見せた。五月は親戚でありながら古尾谷と体を重ね、池波は夫が出征中のさびしさを紛らわせるため若者の肉体を欲する。
「村一番の男のアレってどんなじゃろうね」
これ以上ない好色なセリフが印象的だ。
高島礼子(55)が、映画初出演作で大胆な脱ぎを見せたのが「さまよえる脳髄」(93年、ヒーロー)。女のまぶたを切り取る猟奇的な連続殺人事件を背景に、高島は犯罪者と向き合う精神科医に扮している。冒頭から早くも伝説のベッドシーンが展開されるといい、「恋人役の神田正輝とのカラミで、立った姿勢で犯され、全脱ぎした胸がガラスに押しつぶされるというアングルが光っていたという。
「公開後たちまち『あのすごい女優は誰だ?』と話題になりました」(前出・秋本氏)
ピンク映画並みのハードなベッドシーンが3度もあり、高島がシャワールームで生理の血を流すサイコホラー的な見せ場も続くのだ。
11月19日発売の週刊アサヒ芸能11月28日号では、さらに恐怖映像の裏に隠された、今はもう見られない名女優の生まれたままの姿から新進女優の大胆ベッドシーンまで徹底リサーチしている。