明日のスターを夢見てその門を叩く人々を食い物にする、悪質な芸能プロの実態を暴いていくシリーズ。前2回では詐欺まがいのオーディションと、悪質な芸能スクールの危険な癒着関係を暴いてきたが、もう一つ、特に若い女性が狙われる、こんな話もある。
「詐欺まがいのオーディションで合格して、いきなり事務所の所属となって浮かれる女性に、まずはエキストラなどの仕事をどんどんさせ、テレビ局に出入りさせたり業界の雰囲気を味わわせるんです。そしてタレントの仲間入りをしたような気分になっているときに事務所に呼び出し、“この前の(エキストラでちょっと出ただけの)ドラマのプロデューサーが君を気に入っている”と、ありもしない話をする。天にも昇る気持ちの女性に、“いつ声がかかってもいいように、もう少し自分を磨いておかないと”と、提携のエステに落とし込み、数十万円の高額コースを購入させるんです。もちろん、その半分が芸能事務所にキックバックされるというわけです」(芸能関係者)
確かに、エキストラからスカウトされてスターになった例はなくはないが、そんなシンデレラストーリーは10年、20年に一人あるかないか。結局、いつまで経ってもプロデューサーからの声などかかるはずもなく、残るのは高額のエステのローンだけというわけだ。
「十数年前にテレビで人気者になったラーメン店社長がいましたが、彼はラーメンで成功したのではなく、こうした裏のビジネスで荒稼ぎをしていたんです」(前出・芸能関係者)
努力もせずにスターになれる、そんなオイシイ話があるはずがないのである。
(露口正義)