コンプライアンス(法令順守)への意識の高まりや、政府が進める働き方改革の影響もあり、芸能事務所の健全化が進んでいる。
吉本興業の“闇営業”騒動で、タレントとの契約問題もクローズアップされることになり、所属タレントとの契約内容を改めて見直した事務所は多いという。また、公正取引委員会が、元SMAPメンバー3人をテレビ出演させないよう圧力をかけていた疑いがあり、独占禁止法違反につながる可能性があるとして、ジャニーズ事務所に注意していたことまで明らかになったことで、事務所を辞めたタレントへの“圧力”も減っていきそうにも見える。
だが、ある芸能プロ幹部はこう話す。
「いやいや、いまだにジャニーズへの忖度はあって、元SMAPの3人はもちろん、他のジャニーズOBとも共演はNGという大手プロもあります。民放に少しずつ出始めているようには見えますが、あれは公取委へのポーズに過ぎないともっぱら。依然、彼らが地上波テレビで活躍できる気配はありません」
芸能プロの“コンプライアンス”が、疑わしいことは、こんな話からもよくわかる。
「ある大手プロ傘下の某事務所は、有名なタレントなど一人も所属していませんが、神宮前に事務所を借りて羽振りがよさそうなんです。ただし、その資金源は、詐欺まがいのオーディション。“昔は見たけど最近は見ないね”というクラスの仕事のない俳優やタレントに数万円を渡して審査員などオーディションの顔にして情報誌に広告を打ち、『新人募集』のオーディションを開催します。参加費が5000円~1万円。ほとんどを合格にして、『まずは基礎の勉強が必要なんだ。オーディションにはたくさん行ってもらうし、在学中から仕事が入るタレントもいるから』と、提携の芸能スクールに入学させ、10~20万円ほどの入学金をまるまるキックバックするんです。一回のオーディションで300万円~500万円を荒稼ぎするのが、彼らのヤリ口で、そんな事務所がいくつもあります。最近は、高齢者をターゲットにシルバータレント募集のオーディションが盛況で、ちょっとしたバブルが到来していますよ」(芸能ジャーナリスト)
数回に渡って、そんな悪徳芸能プロの実態をお伝えしていこう。
(露口正義)